Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-04] 医療現場におけるGS1コード活用の効果と課題:電子カルテを中心に

美代 賢吾1 (1. 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター)

現在、バーコード表示の義務化のための薬機法の改正が進められている。この法律改正を待つまでもなく、医薬品や医療機器の製造・輸入・販売会社は、その対応を順次行っており、当センター内の調査では、手術で使用した医療材料のバーコード貼付率は96%となっている。バーコード表示の義務化・法制化は、サプライチェーンにおける効率化のみならず、医療現場での、医療安全の向上や診療報酬請求の効率化も意図したもので、医療機関内での使用をも意図している。しかしながら、法制化等によるバーコード”表示”の義務付けは可能でも、バーコード”使用”を強制することはできない。本来、医療の安全性の向上、業務の効率化が実現するのであれば、バーコードの使用は、自然と広がっていくものであるが、現状は一部の医療機関を除いては普及しているとはいいがたい状況である。国立国際医療研究センター(NCGM)では、2年前より「患者安全と院外・院内最適化を目指した医療材料統合流通研究会」を立ち上げ、病院内におけるGS1バーコードの具体的活用方法、またユースケースごとの課題の議論を進めてきた。そして、一般の病院でGS1バーコードを活用するためのハードルを明らかにし、その対応策の検討を行ってきた。昨年、その成果の一部を利用して、手術室および心臓カテーテル室でのGS1バーコード利用を開始した。本講演では、一般的な病院におけるバーコード利活用のハードルとは何かを明らかにし、その対策について、NCGMでの検討および導入事例を用いて、説明する。この対応策には、医療機関側だけでなく、電子カルテベンダーが取り組むべきものも多い。本セッションには、医療機関の職員、電子カルテベンダー、部門ベンダーなど、電子カルテに関わる様々なステークホルダーの方々の参加を期待する。