一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-1-02] 多施設での横断的患者データ検索システムの構築

松村 泰志1、松永 隆2、真鍋 史朗1、村田 泰三3、山本 征司3、小西 正三3、武田 理宏1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学, 2. 大阪府立国際がんセンター 医療情報部, 3. 大阪大学医学部附属病院 医療情報部)

data warehouse, multicenter study, electronic medical record

大阪大学医学部附属病院では、関連病院と臨床研究を支援するために大阪臨床研究ネットワーク(OCR-net)を組織し、ICT基盤システムを整備しつつある。現時点で19病院の電子カルテシステムと阪大病院のデータセンター間をフレッツVPNワイドで結び、前向き臨床研究を支援するシステムを導入し運用を開始している。一方、ネットワーク内の医療機関で、被験者候補の検索や薬の副作用解析をするために、後ろ向きに横断的検索を可能とするデータベースの整備も求められている。一方、改正個人情報保護法で病歴が要配慮情報となったことから、各医療機関は、それぞれが管理する診療データを外部に出さなくなった。また、多施設データを横断的に検索するためには、共通のコード体系でデータが保存されている必要がある。こうした状況を考慮し、現実的なソリューションを考案し、整備を進めているので報告する。
 レセプト、DPCのEFファイル、様式1のデータには、診療の実施データが保存されており、コードはレセ電算コードで共通化されている。そこで、各施設内に共通データウェアハウスを設置し、患者IDを仮名化し、性、生年月日、処方、注射、手術、処置、病名のデータを格納する方式とした。このデータベースに対して、目的データを取得するための検索処理プログラムを記録したファイルをセンターサーバから各施設のデータウェアハウスに配信し、処理を実行する。処理結果データを各施設のスタッフが確認し、送信を許可した場合、これがデータセンターに集まる仕組みとした。この仕組みを使った検索は、研究を目的としたものに限定し、オプトアウト方式とし、倫理審査で承認を得た場合に実行する運用方針とする。今後、このデータウェアハウスに、検体検査結果、画像レポートなどを追加し、内容を充実させること、秘密計算機能を加えることで、個人情報の収集リスクを減じることを計画している。