Japan Association for Medical Informatics

[3-J-1-04] がん診療統合データベースシステムの運用:呼吸器外科におけるテンプレートデータの取得とNCD登録データの自動変換出力

鈴木 一洋1笠原 あや菜1、小口 正彦1 (1. 公益財団法人がん研究会有明病院 データベース&バイオバンクセンター)

Medical Informatics, Unified Integrated Database, NCD(National Clinical Database), Information Retrieval, Template

当院では、2017年より集学的がん診療に特化した「診療情報統合データベース」(以降、「統合DB」)を独自開発している。統合DBに登録される手術データは「患者背景/術前情報/手術詳細と術中初見/病理所見」といった多種多様なデータ項目が含まれ、その多くは電子カルテ上のテンプレートに記載されている。テンプレートは各学会をはじめ、NCDや全国がん登録等の症例登録事業の際にも参照されるが、各々のシステムの入力時には手動で個別に転記する必要がある。そこで、テンプレートを統合DBの手術詳細情報に取り込む機能を実装するとともに、手術詳細情報をNCDの出力形式に自動変換する機能の開発を行い、呼吸器外科においてテンプレートに記載されたデータを、診療補助やNCDにおいて転記作業を行うことなく利活用できる環境を整備した。統合DB上に構築した呼吸器外科手術データベース(以降「呼外DB」)は、手術直後までのデータについては64%を超える項目がテンプレートから取得可能であり、院内の全電子カルテ端末で操作が可能なため、データ登録・修正作業だけで約17時間/年以上の作業時間削減に貢献することができた。さらに、NCD登録データへの変換は、CSV出力対象367項目について、変換ロジックあり:100項目 変換ロジックなし:197項目 DB値を初期設定:42項目 固定的初期値を設定:28項目 であり、呼外DBに存在するデータ項目を含め、約半分のデータ項目は手動入力が不要になった。呼外DBは当院の呼吸器外科において、2018年7月からテスト運用を開始し、問題点や設定内容の精査・修正を行ったのちに、9月から本格的な運用の切り替えを行った。さらに、NCD登録については2019年2月から3月にかけて2018年12月手術症例を用いた暫定的な運用切り替えを行い、2019年症例登録における全面運用移行に向けた準備を行った。