Japan Association for Medical Informatics

[3-P1-1-04] 慢性心不全を対象とした診療録サマリー機能(クリニカルダッシュボードシステム)の実装

小西 正三1,2、真鍋 史郎1,2、村田 泰三2、藤井 歩美2、中川 彰人1、武田 理宏1,2、松村 泰志1,2 (1. 大阪大学大学院医学系研究科医療情報学, 2. 大阪大学医学部附属病院医療情報部)

electronic medical record, secondary use of clinical data, summary

電子カルテには日々膨大かつ多様な診療情報が追加・更新されており、診療情報をテーマごとに整理して示す機能への閲覧者からの要望は大きい。効率的な情報処理を念頭にテンプレート書式を用いた診療録入力システムが開発されたが、我々はこういった要望に対し標準化された診療録を基盤に、対象疾患ごとの診療サマリー表示を可能とする「クリニカルダッシュボード」システムを開発した。本システムはテーマごとに診療録から必要な項目を抽出させるようマスタ設定し、それらを統合して疾患別経過サマリーを表示させる。これにより閲覧者は個別の診療録を確認せずとも必要な情報を容易に把握できる。

この度、我々は慢性心不全の診療支援を目的に本システムの実装を行った。慢性心不全の外来管理では、特に特定の血液検査項目(脳性ナトリウム利尿ペプチドや血清クレアチニン、尿素窒素など)、心エコー図検査の指標(左室拡張末期径、左室駆出率など)、身体情報(血圧、脈拍数、体重など)の継時的変化に注目しながら診療が行われる。また、入院精査加療を行った症例では、運動耐容能検査や重症度評価(ニューヨーク心臓協会心機能分類)が行われるが、こうしたデータは退院後の診療においても重要な情報であり、繰り返し参照される。血液検査項目は検体検査結果、体重は患者基本情報から取得した。血圧、脈拍は経過記録でテンプレート入力、心エコー図結果はレポートシステムでテンプレート入力されたデータを取得した。これらのデータは時系列表示を設定した。運動耐容能検査や重症度評価は文書システムで退院サマリにテンプレート入力されたデータを取得し、最新データを提示した。

これらの臨床利用度の高い異なった種類の指標を一元化し、経過サマリーとして表示させる「クリニカルダッシュボード」は、時間の限られた外来診療現場において特に有用であると期待できる。