Japan Association for Medical Informatics

[3-P1-2-01] オープンサイエンスを考慮した医療情報の利活用を促進するCDISC標準の検討

上野 悟1、星 佳芳1、土井 麻理子2、佐藤 洋子3、水島 洋1 (1. 国立保健医療科学院研究情報支援研究センター, 2. 国立保健医療科学院政策技術評価研究部, 3. 防衛医科大学校防衛医学研究センター医療工学研究部門)

CDISC Standards, Open Science, Data Utilization, Electronic Health Records, Interoperability

近年,各国の政府からオープンデータが公開され,オープンサイエンスが始まっている.日本では2018年6月に統合イノベーション戦略が閣議決定され,「研究データの管理・公開等を促進し,公的資金による研究成果としての研究データについてはデータインフラを通じて機械判読可能化を促進」と記載されている.国際的なデータ利用を目指すためには,同じ品質のデータを同じ解釈で利用することが重要である.CDISC(Clinical Data Interchange Standard Consortium)は様々な疾患の臨床試験データに適用できる汎用性の高いCDISC標準を定めており,研究に共通する計画策定・データ収集・統計解析などのための様々なモデル(標準群)が存在する.本研究では,医療情報の利活用を促進するCDISC標準の利用を検討した.
PRM(Protocol Representation Model)はFDA(アメリカ食品医薬品局)や製薬企業,IT企業,NIH(アメリカ国立衛生研究所)やWHO(世界保健機関)が作成に関与した国際的な視点をもつ標準であり,人よりも機械判読を重視したものであった.CDASH(Clinical Data Acquisition Standards Harmonization)にはデータ収集に関する方法論に加え,患者背景や既往歴などのドメインごとに収集項目と変数名,推奨度,マッピングが定義されていた.
CDISCでは計画から解析までそれぞれのメタデータが提供・管理されるため医療機関ごとにメタデータ管理の必要がなくなり,CDISCから入手可能なメタデータと医療情報からのデータにより,第三者が利活用可能な機械判読性が高まる.医療情報から研究情報の作成が容易となり再利用可能なデータを共有できるため,CDISC標準を利用する利点は大きい.