Japan Association for Medical Informatics

[3-P1-2-02] う蝕関連病名のICD-11コーディングにおけるXコードやICHIコードの評価

佐藤 洋子1,2、星 佳芳2、水島 洋2 (1. 防衛医科大学校防衛医学研究センター医療工学研究部門, 2. 国立保健医療科学院研究情報支援研究センター)

ICD-11, Dental diagnostic term, ICHI, Dental caries, ICD-10

WHOが2019年5月に採択したICD-11(国際統計分類第11版)は死因・疾病統計に加え、基礎・臨床医学や公衆衛生分野などでの使用を想定したコード体系として整備され、新たに導入されたX章エクステンションコード(Xコード)は解剖学的部位、重症度、時間軸などの詳細情報を補足する。WHOは医療行為の国際分類ICHIも開発している。ICD-11およびICHIは歯科分野の臨床や研究用途にも有用だと期待される。歯科病名のICD-11を評価するため、WHOが公開しているICD-10/ 11マッピングテーブルを用いて、ICD-10K00~K14コードのICD-11マッピングを行ったのち、K02「う蝕」についてXコードやICHIを用いたマニュアルマッピングを行った。厚生労働省標準規格「標準歯科病名マスター」のK02病名18個についてもマニュアルマッピングを行った。ICD-10Kコードの歯科病名はICD-11では24つのカテゴリにコードされた。K02「う蝕」とK03「歯の硬組織のその他の疾患」はDA08「歯の硬組織の疾患」としてまとめられた。K02.0からK02.9のう蝕関連コードをマッピングしたところ全てがDA08.0「う蝕」にコードされていた。マニュアルマッピングではエナメル質などの解剖学的部位のXコードを用いることで進行度に応じたう蝕のコーディングが可能となった。標準歯科病名マスターの「二次う蝕」については「二次」に該当しうるXコードとして「再発」が挙げられ、「C3処置歯」についてはICHIの「根管充填」で表現できると考えられた。歯科病名のICD-11コードが増加した一方でう蝕に関連するコードが減少していたが、XコードやICHIを用いることで詳細なコーディングが可能であることが示唆された。ICD-11導入に向けXコードやICHIを含めた総括的なコーディングルールの整備が必須である。