一般社団法人 日本医療情報学会

[3-P1-2-06] 臨床中核病院で標準化された医療情報の臨床研究利用

坂梨 健二1、木島 真一3、山下 貴範2、吉田 尚生1、奥井 佑2、船越 公太1、戸高 浩司1、馬場 英司1、中島 直樹2 (1. 九州大学病院ARO次世代医療センター, 2. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター, 3. 九州大学大学院医学研究院循環器内科学)

REDCap, SS-MIX2, Clinical Research

【背景】九州大学病院を始めとした臨床中核病院には、電子カルテ・部門システムのベンダーによらずに各施設の診療データを共有、標準化することを目的としたSS-MIX2ストレージが導入されている。しかし実際に多施設共同臨床研究に用いようとすると施設ごとの単位の違い、コードの違いが問題になる。そこで、昨年度から「臨床中核病院ネット(以下、臨中ネット)」を構築するプロジェクトがAMED主体で始まった。その臨中ネットからデータを取得し、臨床研究にそのまま用いることを検討した。当院ARO次世代医療センターでは、アカデミア向けのEDCとして米国にて開発された「REDCap」を導入している。REDCapは海外ではFHIRを使用した電子カルテ連携が行われているが、日本では同じ方式が使用できなかった。そのため、臨中ネット用に最適化されたSS-MIX2ストレージからのデータ取得を検討した。

【目的】電子カルテ内の診療データをSS-MIX2ストレージを介しREDCapにインポートする。
【方法】
臨中ネット用に標準化されたSS-MIX2ストレージの患者管理メッセージ、検体検査オーダメッセージから患者属性情報、検査情報を取得して、REDCapインポート用のフォーマットでCSVを作成できるようにした。

【結果】電子カルテに入力されている情報をREDCapに簡易にインポート出来るようになった。

【考察】SS-MIX2から最低限の患者属性、検査情報を抽出して、REDCapにインポートできる形式に変換するツールを作成することができた。今後、以下の方向で検討を進めていく。
1.複数症例のデータ取得に対応
2.SS-MIX2からREDCapへのオンラインでのデータの受け渡し
3.介入研究におけるVisit毎のデータ取得
4.拡張ストレージからのデータ取得
5.サンプルとなる研究での使用を想定しての取得項目の再検討