Japan Association for Medical Informatics

[3-P1-3-03] Deep Learningによる歯式情報認識に関する判別根拠の可視化

丸山 陽市1、山下 利佳1、吉松 昌子2 (1. 長崎大学病院 医療情報部, 2. 長崎大学病院 周術期口腔管理センター)

Dental information, Deep learning, Personal identification, Grad-CAM, Dental chart

【目的】大規模災害時の身元不明者に対する個人識別に関して、口腔内情報の医療クラウドやデータベース化へ関心が高まっている。2015年より本院DWHでは1歯単位での口腔内情報を蓄積し、第36回本大会で、個人識別には処置履歴と初診時の歯式情報が重要であると報告した。初診時の口腔内診査に対して効率的な入力機能の実現が必要なため、第38回本大会において、Single Shot Multibox Detector(SSD)による口腔内画像上の歯種と状態に対する自動認識は、歯式情報認識に有効な手段であると報告した。このようなdeep learningによる画像認識ではクラス分類に対する判断根拠を明確にすることが求められている。本研究では、画像認識による歯種分類の判断根拠を可視化したので報告する。

【対象および方法】歯の認識対象は上顎永久歯歯列咬合面画像に残存する健全歯や金属修復物がない非金属歯とした。歯式情報認識はSSD512モデル(512x512)で行った。ニュラルネットワークーライブラリはkeras(ver. 2.4)を使用し、バックエンドのフレームワークはTensorFlow(ver. 1.12)を利用した。認識領域の可視化はGradient-weighted Class Activation Mapping(Grad-CAM)で行った。

【結果および考察】Grad-CAMのヒートマップにおいて、前歯部は唇面か舌面、犬歯は尖頂から遠心辺縁、舌面、小臼歯では頬側咬頭から咬合面、大臼歯部では咬合面に強い勾配が認められた。ヒトの歯では解剖学的に切縁や咬頭の形態、咬合面の裂溝パターンで前歯、大臼歯等の歯種と上下顎、左右側の部位鑑別を行う。歯式情報認識のSSD512モデルでも解剖学的な特徴を捉えていると思われる。

【結論】歯式情報認識における歯種分類の関心領域は解剖学的な特徴領域と類似している。