一般社団法人 日本医療情報学会

[3-P1-3-04] Encoder-Decoder Modelによる最適MRIプロトコル予測システムの開発

谷川原 綾子1,2、上杉 正人3、安渡 大輔4、タ キンキン5、遠藤 晃6、藤田 勝久4 (1. 北海道科学大学保健医療学部, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院, 3. 北海道情報大学医療情報学部, 4. 北海道大学病院医療技術部, 5. 北海道大学病院放射線診断科, 6. 北海道大学病院医療情報企画部)

Encoder-Decoder Model, Brain MRI examination, Natural Language Processing

【目的】MRI検査における最適撮影プロトコルは、放射線科医が患者の臨床所見を基に決定している。ディープラーニング技術は診療の質の向上に向けた最適撮影プロトコルの決定支援に貢献できる可能性がある。本研究では、患者の臨床所見に基づきEncoder-Decoder Modelを用いた最適なMRIプロトコルの予測システムの開発を行い、その精度評価を行った。

【方法】北海道大学病院から2010年1月から2017年12月の期間において6,831件の造影脳MRI、10754件の非造影脳MRIの検査申込書を収集した。これらのデータには、検査依頼医が記載したMRI検査目的、臨床所見と治療経過に加え、放射線科医より指示されたMRIプロトコルが記載されている。 なお、MRIプロトコルはMRIの画像の種類、撮像断面および厚さの組み合わせ(FLAIR sag 3mmなど)とする。解析方法は、依頼医からの記述をbigramで切り出し、Encoder-Decoder Modelに入力後、最適MRIプロトコルを予測した。造影、非造影検査のデータセットをそれぞれ10等分に分割し、訓練9、テスト1の比率で交差検定を行った。評価は放射線科医の指示に対して予測されたMRIプロトコルの完全一致率、過大評価率、過小評価率、部分一致率、完全不一致率を算出した。

【結果】造影検査における完全一致率、過大評価率、過小評価率、部分一致率、完全不一致率は、それぞれ13.0%、39.3%、2.3%、41.4%、4.0%であった。非造影検査では、それぞれ、4.4%、50.0%、1.8%、42.6%、1.4%であった。造影、非造影検査共に、撮像頻度の高いMRIプロトコルは予測精度が高い傾向が見られた。今後は、ハイパーパラメータを調整し、精度のさらに向上を目指したいと考えている。