Japan Association for Medical Informatics

[3-P2-2-02] 看護情報支援用スマートフォン導入による看護業務の改善可能性と課題

政岡 祐輝1、福島 佳織1、長野 美紀1、山本 剛1、上田 郁奈代1、上村 幸司2、平松 治彦3 (1. 国立循環器病研究センター医療情報部, 2. 国立循環器病研究センター研究推進支援部, 3. 国立循環器病研究センター情報統括部)

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【背景・目的】電子カルテシステムを用いた診療情報の電子化により、多職種間の情報共有の円滑化、ペーパレスによる保管場所の軽減や紛失リスクの低減等のメリットがある。一方で、情報の一覧性・視認性や情報収集・入力時の操作性に関する問題があり、入力デバイスやGUIの改善など様々な試みがなされている。本院でもシステム更新に際して、看護情報支援アプリが実装されたスマートデバイスの導入が決定したため、看護業務上の電子カルテシステム使用時の問題点を抽出し、スマートデバイス活用による改善の可能性を評価したので報告する。

【方法】現行の電子カルテシステムとPDAのアクセスログおよび看護師へのヒアリング結果を分析し、看護業務上の問題点を洗い出した。次に、看護情報支援アプリが実装されたスマートデバイスを用いて、オーダ・指示情報の参照・実施入力、看護記録作成、画像撮影・送信などの業務リハーサルを行い、抽出した問題点の改善可能性を評価し、スマートデバイスの課題抽出も行った。

【結果・考察】ヒアリングでは、「目的情報に辿り着くまでのクリック数が多い」という意見がある一方で、「現状に慣れてしまっているので問題はない」、「現行の電子カルテシステムの機能活用で解決できる」などの意見があった。電子カルテシステムへの1日平均ログイン回数は2679.4回であり、8・9・12・17・19時台にアクセスが多かった。アクセスが多い時間帯は、始業時の情報収集や患者ケア後の看護記録やオーダ・ケア実施入力によるものだと考えられた。今回、看護師一人に一台スマートデバイスを支給するため、タイムリーにオーダ・ケア実施や看護記録の入力ができ、電子カルテ端末の取り合いやベッドサイド業務の負荷分散が期待できる。しかし、情報収集の効率改善は難しく、スマートデバイスの充電管理、情報リテラシー・情報セキュリティーに関する教育が課題としてあがった。