Japan Association for Medical Informatics

[3-P2-2-05] 退院時看護要約のRPA化に向けた 地域包括ケアシステム内における情報共有に関する研究 訪問看護ステーションや介護老人保健施設、特別養護老人ホームに焦点を当てて

岡部 春香1,2、中島 美津子2 (1. 東海大学医学部看護学科, 2. 東京医療保健大学大学院)

Nursing Discharge Summary, community comprehensive care system, Information Sharing

【目的】訪問看護ステーションや介護老人保健施設、特別養護老人ホームの退院時看護要約の記載状況を明らかにすることである。

【方法】対象は首都圏の訪問看護ステーションや介護老人保健施設、特別養護老人ホームから移動した患者・利用者のために記載された退院時看護要約である。調査対象期間は2017年4月~2019年3月であり、移動・退所状況を調査し、さらに除外条件を除き、主な疾患や移動先に偏りのない各ステーション・施設10部、計30部を抽出した。データ収集方法は既存の複数の退院時看護要約等を参考に独自の調査用紙を作成し記載した。調査項目は、年齢、性別、移動先、経過、感染症、アレルギー、ADL(日常生活動作)、継続看護等であった。分析は単純集計、項目ごとの記載率を出した。倫理的配慮として、研究者の所属機関の倫理委員会の承認を得た。退院時看護要約からデータを収集する際は個人を特定できる情報を除き、対応表を作成して、対象のプライバシー厳守に配慮した。

【結果】移動先は訪問看護ステーションや介護老人保健施設、特別養護老人ホームともに病院が多く、訪問看護ステーションや介護老人保健施設、特別養護老人ホーム間の移動は少なかった。移動は訪問看護ステーションが多かった。退院時看護要約の文字数や記載率共に経過や継続看護が顕著に高かった。文章欄の内容や量は個々によって差があった。感染症、アレルギーは差がなかった。ADLについては文章欄によるものとチェック欄のみのものがあり、経過や継続看護と重複した内容が記載されているものもあった。

【考察】重複記録は、情報共有をする上で重要となるものを精査して明確にすることが示唆された。そして、必要なものが確実にわかりやすく記載されるような仕組みを作ることが喫緊の課題である。将来的には退院時看護要約の作成指針を示し、RPA(ロボスティックプロセスオートメーション)化を目指したい。