Japan Association for Medical Informatics

[3-P2-3-03] 長崎県での地域医療情報システムを利用した臨床検査データ共有の取組みとその課題

臼井 哲也1、田浦 直太2、松本 武浩2、鶴田 一人1、賀来 敬仁3、栁原 克紀3 (1. 長崎大学病院 検査部, 2. 長崎大学病院 医療情報部, 3. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 病態解析・診断学分野)

sharing of laboratory test data, Medical information system, community medicine

【背景と目的】長崎県の地域医療情報システムである「あじさいネット」は県内37拠点病院における全電子カルテ情報の共有が特徴である。また、情報閲覧施設における外注検査結果を共有しており、情報閲覧施設実施検査を含めた時系列表示が可能である。JLAC10コードにより検査結果時系列表示が可能となるも、日常的に利用している施設は乏しく、コーディングは容易でない。情報提供病院の検査および情報閲覧施設における外注検査に対するJLAC10 コーディングを実施しておりその運用と課題について報告する。

【対象・方法】「あじさいネット」上で外注検査結果共有機能を利用している診療所が検査委託している外注検査会社4社、情報提供病院13施設と当院の検査項目コードをJLAC10コードに変換し検査結果の時系列表示を実施した。長崎大学病院で使用している検査項目コードをJLAC10コードに変換し検査センター4社の検査項目コードの紐づけ作業を行った。これを基に情報提供病院13施設には各検査項目の情報を記入してもらうデータシートを配布し各施設の検査項目コードをJLAC10コードに紐づけする作業を行い、当院と検査センターおよび情報提供病院13施設の生化学42項目のコーディングを行った。

【結果】外注業者4社と情報提供病院13施設の各施設での項目名称が異なるため、項目名称を統一しJLAC10コードによる多施設時系列表示を可能とした。課題として、継続していく上で測定方法が変更した場合のJLAC10コード変更の対応、基準範囲の統一、精度の維持(精度管理)などが挙げられた。また診療所からは新たに緊急時における検査結果の転送の依頼などの要望などがあった。
【まとめ】地域完結型医療において当院と検査センターおよび情報提供病院の連携は重要であり、今後はこれら課題について検討が必要と思われる。