Japan Association for Medical Informatics

[3-P2-4-02] 効率的な地域の健康課題把握を目的としたGISを用いたコロプレス図作成の試み

齋藤 希望1、入野 了士2、窪田 志穂2 (1. 聖カタリナ大学人間健康福祉学部, 2. 愛媛県立医療技術大学保健科学部看護学科)

Geographic Information Systems, Population Health Management, Municipal health activities

【背景】地域の健康課題を効率的に把握することを目的として、GISを用いたコロプレス図(以下、マップ)作成を試みたので報告する。

【方法】地域の健康課題把握を目的とした検討会において、Y県X町における2014年の国民健康保険及び協会けんぽの特定健康診査結果に関するGISでの表し方を検討した。

X町の歴史的な健康課題を考慮して、属性データは男性40~69歳のHbA1c(NGSP値)とし、地図データは、「政府統計の総合窓口(e-sat)」から平成27年国勢調査・小地域における境界データを用いた。X町では町内を6地区に分けて地域保健活動単位としていることから、地図データも同様に6地区とした。属性データを年代、地区で層化して年代別地区別有所見率を算出し、マップに示す属性値とした。マップの色分けである等級色分類を2パターン用意し、マップAにはX町全体の有所見率、マップBには5%刻みの有所見率を分類の数値に適用した。

研究実施に際し、研究者の所属大学審査委員会の承認を得た上で、健診結果の提供を受け、分析を行った。

【結果】マップAはX町全体に対する各地区の健康課題、マップBは各地区における年代別の健康課題が把握しやすい特徴があると、検討会から評価を得た。一方、層化の過程で標本数が減少し、年代別受診者数が1割未満となった地区や、年代別地区別受診者数が町全体受診者数の3分の1を占めた地区が発生し、属性値である有所見率が不安定化する課題が生じていた。

【考察】効率的に地域の健康課題を把握するためには、把握したい内容に応じて属性値と分類に適用する数値の設定が重要であると示唆された。一方で、地理的指標は、性、年代、地区という係数の追加に伴い、統計的な不安定化を招くことが先行研究でも指摘されており、不安定さが増す人口規模が小さな地域でGISを用いる際には、特に留意すべき点と考えられた。