Japan Association for Medical Informatics

[3-P2-4-03] 特定健診データを用いた糖尿病発症に関与する生活習慣の検討

三上 史哲1、高尾 俊弘2、山中 義之2、藤本 壮八2、片岡 浩巳1,3、岡田 美保子4 (1. 川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部 医療情報学科, 2. 川崎医科大学 健康管理学, 3. 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床検査学科, 4. 一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)

Diabetes mellitus, HbA1c, Skipping breakfast

【背景】糖尿病の予防に関する研究では、食事・運動療法や減量が行われたものは、行われなかったものと比べて2型糖尿病の発症を予防できると言われており、発症を予防するために日々の生活改善が重要であるとされている。一方、これらの結果の多くは、糖尿病患者や循環器系疾患患者を対象とした検証であり、特定健診のような健康な人が中心となる集団のデータによる分析結果が示された先行研究は少ない。そこで、本研究は倉敷市における5年間(2010年から2014年)の特定健診データを用いて、糖尿病の発症リスクを高める生活習慣を明らかにすることを目的とする。

【方法】倉敷市から提供された特定健診5年分のデータ32,874名(延べ77,704件)を元に、5年間の血圧、血糖、脂質等の変化を確認し、ウィルコクソンの符号順位検定で有意差検定を行った。また、5年間のHbA1cの変化について重回帰分析を用いて解析した。さらに糖尿病の発症に関して、初年度の生活習慣がどのように影響するかについてCox比例ハザードモデルを用いて検討した。

【結果】男女とも5年間で有意に上昇したものは年齢、HbA1c、血糖値であった。HbA1cの5年間の差に影響を及ぼす生活習慣の検討では「日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施」と「朝食を抜くことが週に3回以上ある」が有意に影響した。また、生活習慣と5年間の糖尿病の発症に関しては「朝食を抜くことが週に3回以上ある」が最も高い関連を示した。

【考察とまとめ】5年後のHbA1cの増加には現在の歩行等の運動習慣および朝食欠食が関連することが明らかになった。また糖尿病発症に関与する因子として朝食欠食が関連していた。これらの関連は年齢、BMI、性別等で補正しても認められており、単に体重のコントロールのみでなく、疾患に応じた診療および保健指導が重要であると考えられた。