Japan Association for Medical Informatics

[4-A-1-01] 米国におけるHL7 FHIRを用いた2型糖尿病向け処方選択支援システムの開発

竹内 渉1、垂水 信二1、Loya Salvador 2、Chalkidis George1、Flynn Michael3、Turner Kyle3、Sakaguchi Farrant3、Weir Charlene2、Krame Heidi2、Shields David2、Warner Phillip2、Kukhareva Polina2、伴 秀行1、Kawamot Kensaku2 (1. 株式会社日立製作所 研究開発グループ, 2. Dept. of Biomedical Informatics, Univ. of Utah, 3. Univ. of Utah Health)

Clinical Decision Support, Machine Learning, Type-2 Diabetes, FHIR

【背景と目的】2型糖尿病は代表的な生活習慣病の一つであり、患者数も多く長期にわたる治療の継続が必要である。この長期間の治療を効果的に行うには、患者の状態に合わせた処方薬の選択が必要である。そこで本研究では、実臨床データに基づく処方選択支援を目的とし、処方毎の治療効果予測モデルと、当該予測モデルを搭載した2型糖尿病向け処方選択支援システム(以下、PDSS)を開発した。

【方法】米国ユタ大学の診療データ10921例をGradient Boosting Treeにて学習し、3か月後または6か月後にHbA1c<7%などの治療目標を達成できる確率を予測するモデルを開発した。予測性能の評価のため、予めテストデータとして全例の30%を除けて置き、残りの70%で5分割交差検証を行った後、テストデータにて性能評価を行った。また、予測モデルを電子カルテから活用可能にするため、HL7 FHIR®を用いた。PDSSは、ユタ大学が開発した診療支援システム(OpenCDS)と、予測API、ダッシュボードで構成される。ダッシュボードに表示する情報や予測モデルの入力特徴量は全てFHIRリソースとして電子カルテから取得し、予測結果に加え、薬価、患者加入保険の償還対象薬名、アレルギーなど処方選択に必要な情報を集約表示可能とした。

【結果および考察】処方薬剤毎の治療目標達成可否予測性能を5分割交差検証により評価した結果、Area Under the Curve(AUC)0.876±0.006を、テストデータにおいてAUC0.882となり有用性を確認した。PDSS をFHIRアプリケーションとしてユタ大学の電子カルテに実装することで、全関連クリニックから活用可能とした。

【結論】処方毎の治療目標達成確率予測を備えた2型糖尿病向け処方選択支援システムを開発した。今後、本システムの有用性を前向き臨床研究にて評価する。