Japan Association for Medical Informatics

[4-A-1-02] 入院後合併症の予測モデルの開発と説明可能なAI(Explainable AI)を活用したリスク要因分析

松田 敦義1、外山 比南子1、荒木 賢二2、小川 泰右2、松尾 亮輔2、島井 健一郎3、柴田 淳司4、大原 靖之1、小柴 萌1、楢木 悠士1、住谷 有規1 (1. 株式会社ログビー, 2. 宮崎大学医学部附属病院, 3. 千葉大学医学部附属病院, 4. 産業技術大学院大学)

Clinical Decision Support, Machine Learning, Artificial Intelligence, Explainable AI

【はじめに】医師の長時間労働が問題となっているが、それが原因で重大な合併症のサインを見逃す恐れがある。もし合併症を予測できるなら、医師の負担軽減、患者予後の改善に繋がる。そのため我々は合併症の発生を予測し、医師へ通知するシステムの開発を行っている。
 先行研究として機械学習を活用したリスク提示、リスク要因分析の研究はあるが、説明可能なAI(Explainable AI)の技術を活用したリスク要因分析の研究は少ない。我々は入院時疾患が腫瘍である患者群から、入院後に合併症として肺炎を発症する患者群を機械学習を用いて予測した。またExplainable AIを活用し、予測に寄与した要因分析を実施した。

【方法】宮崎大学医学部附属病院の2012年4月1日~2017年3月31日に入院した患者の患者属性、検査、DPC等のデータを使用した。対象の入院時疾患はICD10分類におけるC00-D48 新生物<腫瘍>とし、対象の入院後合併症を肺炎とした。
 データの前処理後、LightGBM、Random Forest、SHAP等を用いて特徴量の重要度を導き出し、特徴量の選定を行った。選定した特徴量を用い、LightGBM等の機械学習アルゴリズムを適用し合併症の発症を予測した。

【結果分析】予測精度の評価指標としてAUC(Area Under the Curve)および再現率、適合率を用い、各機械学習アルゴリズムの予測結果を比較した。また、機械学習アルゴリズムに対してSHAPを適用し、合併症の発症の予測に対する各特徴量の寄与度、部分依存性、特徴量間の相互作用を分析した。

【今後】今後は複数の合併症をまとめて予測するモデルの開発を予定している。また、多施設の大規模医療情報データベースを用い、症例数を大幅に増やして予測精度を上げるとともに、EHRと連携しアラートメッセージを医療機関に送信する仕組みを検討する。