現在、医学医療分野における人工知能(AI)関連技術の応用研究が様々な分野で進められつつある。この領域は対象と技術が多様化しており昨今では技術革新のスピードも早く、これらを俯瞰し最新の研究動向を把握する機会は本学会にとって貴重である。また医療情報学会の視点のみならず人工知能学会からの視点も踏まえて研究動向を理解することは、両学会の一層の対話を促進し研究全体を加速していくためにも重要である。
　このような観点から、本共同企画は、日本医療情報学会「医用人工知能研究会」が人工知能学会「医用人工知能研究会 (SIG-AIMED)」と連携しながら行っている合同研究会活動の一環とし、一昨年、昨年に引き続き日本医療情報学会と人工知能学会との共同企画としてこれらの研究動向を紹介するものである。医療情報学会側は今井健（東京大学）が、人工知能学会側は古崎晃司（大阪電気通信大学）がオーガナイザーを務め双方の学会より演者を集い、それぞれの視点から、機械学習（深層学習）・自然言語処理・理論知識型人工知能の研究動向、またオミックス情報・精神医療・眼科領域における臨床応用研究について解説頂く。
　本シンポジウムは、以下の構成で進める。
招待講演1：浜本隆二（国立がん研究センター研究所）「がんの統合的解明を目指したオミックス情報の階層的ネットワークに対する機械学習・深層学習技術の応用」、招待講演2：高村大也（産業技術総合研究所人工知能研究センター/東京工業大学）「言語理解と言語生成」、招待講演3：市瀬龍太郎（国立情報学研究所）「理論知識型人工知能」、研究発表1：宗未来（東京歯科大学）「精神医療におけるAI活用の経験から：その展望と課題」、研究発表2：升本浩紀（ツカザキ病院）「人工知能を用いた眼科領域における臨床応用研究」。