Japan Association for Medical Informatics

[4-A-2-05] 人工知能を用いた眼科領域における臨床応用研究

升本 浩紀1 (1. ツカザキ病院)

昨今、医療現場に対するAI導入が検討されており、診断については、内視鏡画像診断や眼底画像、放射線画像(CTやMRI)など様々な診断についての報告がなされており、少しずつ実装への動きがみられる。我々は、国内最大規模の眼科臨床施設であることの強みを生かし、各種眼科検査データを大量に保有している。そして、人工知能チームを病院内に立ち上げることによって、これまで多種多様な人工知能研究を論文や学会にて報告してきた。
眼科における人工知能研究は、ほとんどが眼底画像および光干渉断層計(OCT)における診断もしくはSegmentationである。一方で、我々は、超広角眼底画像における眼底診断AIについてのみならず、前眼部写真を用いた充血重症度分類や白内障の重症度分類、顔面写真を用いた眼瞼下垂診断など、眼科人工知能研究ではあまり一般的ではないオリジナリティーあふれる取り組みを行ってきた。
また、人工知能ができることは、診断やその補助だけではない。医療の安全性を高めることについてもAIを利用できると考えている。我々は、手術対象のミスを防ぐAIを紹介したい。患者の個人識別や、患側確認、使用器具の確認による事故は多数散見されるが、あってはならないことである。また、手術の質を担保することにもAIは使える。手術におけるミスの予兆は術者本人には客観的に把握できないが、周りから見ればわかる。その役割をAIに担わせる取り組みを行ってきた。
さらに、人工知能が生かせるのは、病院内だけではない。服薬状況を確認することは非常に臨床的に重要であるが、錠剤とことなり、点眼薬はどれだけ使用されたかを測定することは非常に難しい。これをモーションセンサーと人工知能を組み合わせることで把握する研究を我々は行ってきた。
これら我々が行ってきた様々な眼科領域での人工知能を用いた取り組みについて紹介する。