Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-05] 初学者による京都大学NDBオンサイトリサーチセンターの使用経験

植田 彰彦1、近藤 英治1、大寺 祥佑2、朝野 美穂3、中北 麦1、万代 昌紀1、加藤 源太4、黒田 知宏2 (1. 京都大学大学院医学研究科 婦人科産科学、2. 京都大学医学部附属病院 医療情報企画部、3. 京都大学医学部附属病院 先制医療・生活習慣病センター、4. 京都大学医学部附属病院 診療情報センター)

NDBのビッグデータは臨床的な利用価値が高いが、NDB初学者の臨床医にとってNDBを新規に扱うことは知識面や時間的制約の面でハードルが高く、貴重なデータを生かしきれていない。今回、NDBやプログラミングの知識がない状態より開始し、診療業務と並行しながら京都大学NDBオンサイトリサーチセンターを利用し、最終生成物作成に至った経験を報告する。
発表者らは2018年4月にNDBオンサイトリサーチセンターの利用を要望し、母体生命に危機を及ぼす産科緊急疾患に関する包括的実態観察研究を課題として申請を行い、7月に厚生労働省より承諾通知を得た。院内倫理審査、NDBデータ構造やSQL言語の基礎学習を経て2018年12月よりNDB解析に着手した。当初、各種請求情報の格納位置等のNDBデータ構造の把握、理解に時間を要し、実解析の開始までに2ヶ月の期間を要した。一度NDB構造やSQLクエリの記載方法を把握した後は、オンサイトリサーチセンターは解析項目毎の検査数を参照しながら、試行錯誤しつつ解析を行えるという点で非常に有用であることを実感できた。一方、利用期間を通して診療業務を行いながらの解析は時間的制約が大きく、複雑なSQLクエリを用いた解析までは行えなかった。目標とした解析を利用期間内の2019年4月に終了し、「輸血を要する産科危機的出血の患者動向および治療実態調査」、「初回帝王切開術を要した産科緊急疾患の動向および治療実態調査」、「妊娠高血圧症候群を背景とした周産期の脳出血発症の動向および治療実態調査」の3つのサブテーマについて最終生成物を得た。NDB初学者の臨床医がオンサイトリサーチセンターにおいて一定の利用期間内に成果を得るためには、①初学者でも理解しやすいNDB研究マニュアル整備、②利用前のデモデータを用いた学習機会の確保、③目的に応じたSQLクエリテンプレートの充実、が重要と考える。