Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-02] 公的データベースを介した研究データの国際的な共有について

川嶋 実苗1 (1. 国立研究開発法人科学技術振興機構 バイオサイエンスデータベースセンタ―)

 1980年代に口火を切った「ヒトゲノムプロジェクト」や、それに続く「1000ゲノムプロジェクト」による情報基盤の構築と、2000年代の塩基配列解読技術の発展により、今や、医学研究ではもちろんの事、人類学研究、創薬研究、予防医学研究、また、医療現場における個別化医療など、様々な側面でゲノム解析が行われるようになっている。2013年以降、オープンサイエンスの概念が急速に国際的に広まる一方で、個人情報や機微情報を多く含むヒトを対象とした研究や医療現場で収集される情報を共有するためには、人権やプライバシーの保護、倫理的側面に配慮する必要がある。
 NBDCでは、これまでライフサイエンス分野の情報共有基盤である国際塩基配列データベース「International Nucleotide Sequence Database(INSD)」の運用を米国National Institutes of HealthのNational Center for Biotechnology Information(NIH-NCBI)および欧州European Molecular Biology LaboratoryのEuropean Bioinformatics Institute(EMBL-EBI)と三極連携の下で進めてきた国立遺伝学研究所のDNA Data Bank of Japan(DDBJ)センターと共に、「データ共有」と「プライバシー保全」を両立し、関係する法令等を遵守した形でデータの共有を可能にする『NBDCヒトデータベース』を運用している。同様の制限公開データベースであるdatabase of Genotypes and Phenotypes(dbGaP)やEuropean Genome-phenome Archive(EGA)を介し、国際的に共有されているデータについて報告を行う。