Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-04] AI時代を見据えた健康・医療分野での個人データ利用のためのルール作り

山本 奈津子1 (1. 大阪大学 データビリティフロンティア機構)

 精密医療を目指して世界各国でゲノム・オミクス情報利活用のための戦略が発表される中、我が国でも本年9月に、新たなデータヘルス改革工程表が決定され、本年末までには、全ゲノム情報の収集の数値目標を含めた、具体的な実行計画が定められることとなった。ゲノム情報の数値目標については、英国の100万人といった大規模施策を参考にすると述べられ、収集や利活用についても、個人の参加を前提とした仕組み(PHR)と、AIの導入を推進するという革新的な内容が公表された。
 従来よりプライバシーや個人情報の保護を目的として個人の同意を中心としたルール作りが行われてきたが、AIを活用する時代ではそれに加えて、プロファイリングやスコアなどの新しい機微な個人情報の利用の在り方や、学術目的の主体と企業等の営利目的の主体との共同作業にかかる環境整備など、新たな倫理的・法的・社会的課題への対応が問われている。本発表では、健康・医療分野に関連した新たな取り組みとして、大阪大学で実施しているデータの流通に本人が参加するパーソナル・ライフ・レコード(PLR)基盤、いわゆる情報銀行や、AIホスピタル事業に関連して、国内外の個人情報やプライバシー保護規制、AI関連ガイドライン等の動向を視野に入れた、現場での技術的・制度的な課題検討やルール作りの試みについて報告する。