Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-04] 看護基礎情報を用いた褥瘡発生予測モデルの開発実験

横田 慎一郎1、仲上 豪二朗2、森田 光治良3、小栁 礼恵4、北村 言2、高橋 聡明5、真田 弘美2、大江 和彦6 (1. 東京大学医学部附属病院企画情報運営部, 2. 東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学分野, 3. 東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学, 4. 東京大学医学部附属病院看護部, 5. 東京大学大学院医学系研究科ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座, 6. 東京大学大学院医学系研究科医療情報学分野)

Pressure Ulcer, Nursing Records, Electronic Health Records, Supervised Machine Learning, Decision Support Techniques

【1. 背景】医療機関では褥瘡発生リスクが高い患者に対して褥瘡対策に関する診療計画書に基づく褥瘡予防対策が実施されている。しかし急性期病院においては、患者の状態変化が急速であるためスクリーニングがタイムリーに行われていないとの指摘がある。我々の先行研究では、新規発生症例の57.8%に事前の計画書が作成されておらず、スクリーニングが困難である事を示す結果を得た。

【2. 目的】看護師取得の情報を用いた、新しい褥瘡ハイリスク患者スクリーニング法の開発に関する可能性を探索する事。

【3. 方法】2010年から2017年に東京大学医学部附属病院に入院・退院した患者のうち小児患者を除き、入退院情報、入院時看護基礎情報、褥瘡対策に関する診療計画書を突合してデータセットを作成し、好発部位かどうかや手術部内での発生かどうかをアウトカムとした予測モデルを構築した。ロジスティック回帰モデルを採用し、学習と検証にはダウンサンプリングと1:1のホールドアウト法を用いた。

【4. 結果】患者87,771人分のデータセットを作成し、このうち褥瘡新規発生患者は1,467人だった。アウトカムの種類:アウトカムの件数:検証データにおける感度・特異度に関するReceiver Operating Characteristic曲線のArea Under the Curveはそれぞれ、新規発生:1,467件:0.727、手術部以外で新規発生:1,075件:0.734、好発部位に新規発生:557件:0.663、好発部位に手術部以外で新規発生:485件:0.766だった。

【5. 考察】看護師取得の情報のみでは十分な成績での褥瘡新規発生予測ができなかったが、アウトカム選定によって成績が向上する事が示唆された。病名や検体検査データ等の他の種別、および時系列データの追加で予測成績が向上する可能性があると考える。