Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-05] ICT活用の輸液管理システムの開発と評価

松本 智晴1、隈部 直子2、西條 慎吾3、高倉 広義3、前田 ひとみ1 (1. 熊本大学大学院生命科学研究部看護学講座, 2. 熊本大学大学院保健学教育部博士前期課程, 3. サンリツオートメイション株式会社)

Infusion, ICT, Safety management

【背景】輸液が予定より早く終了する等の輸液管理ミスは、何らかの原因で輸液流速が変化したり、輸液確認が遅れたりすること等により発生している。

【目的】本研究の目的は、ICT(Information and Communication Technology)活用の輸液管理システムを開発し、実装によるシステムの精度を評価することである。本システムは、看護業務における輸液管理ミスを低減し、医療安全の向上に寄与するものと考える。

【方法】本研究は、サンリツオートメイション(株)との共同研究により実施した。本システムは、点滴筒に輸液滴下計測器を装着し、1滴毎に滴下時間を計測し1時間あたりの輸液流速と輸液量を算出する。本研究では、輸液流速の計測におけるシステムの正確性について評価した。対象は、水・電解質補給のために自然落下方式で輸液療法を受けている患者3名の輸液とした。患者の選定は、病状が安定しており3時間はベッド上で過ごす患者とした。評価は、システムに表示される輸液流速と研究者による輸液流速の実測値を、開始時と1時間毎3回、計4回計測し、その差を比較した。研究遂行にあたっては、所属機関の研究倫理委員会の承認(承認番号:倫理第1698号)及び協力機関の倫理委員会及び治験委員会の承認を受けた。

【結果】本研究では12回測定し、システムに表示された輸液流速と実測値の差は、平均5.1ml/h(5.0%)、中央値で4.5ml/h(4.7%)、最大14ml/h(14.0%)、最小2ml/h(2.3%)であり、10%を超える差がみられたのは1回であった。

【考察】本システムは、輸液流速の計測誤差の範囲を±10%としており、結果はほぼ範囲内であったが、10%を超えたのが1回あった。本システムは1滴毎に滴下時間から流速を算出しているため、ストップウォッチによる計測との差が生じたと考えられ、今後、誤差要因を検討する。