Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-06] 既存システムを活用した学生健康診断票電子化の取組み

渡辺 美佐緒1、菅野 妙子1、五月女 祐輔2、本田 光太郎2 (1. 武蔵大学 学生支援センター大学保健室, 2. 武蔵大学 情報システム部)

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【はじめに】M大学保健室では学生健康診断票(以下個人カード)の電子化を目指し、2019年度より既存システム「GAKUEN」(日本システム技術株式会社,東京)へのデータ移行を開始した。GAKUENは学生の個人情報データベースであり、学内各課で学生情報管理に利用されているが、保健室では健診結果証明書発行の目的でのみの利用だった。個人カードの電子化により、①カード作成に係る時間を短縮、②保管場所不要、③記録の集計・分析が容易になり保健室業務の質の向上、④セキュリティ強化、等が見込まれる。

【方法】保健室ではGAKUENの健康情報管理・登録機能を使って健診結果を登録していたが、データ参照は全く行われていなかった。既存システムの仕様は、学生基本情報(学籍番号、氏名や連絡先等)と健康診断結果に関するデータの登録・参照機能のみであるため、その他の項目を設定できる「自由設定」機能を利用し、日常の記録に加えて既往歴、予防接種歴や生活習慣(飲酒や喫煙歴)等、学生の問診票から得られる健康情報を管理することにした。それに先立ち、健診時に、学生に手書きで提出依頼していた問診票を、学内ポータルサイトのアンケート機能を用い、PCやスマートフォンから回答する形式に変更、健診結果と同様に一括したデータベース登録を可能にした。

【結果】4月より、紙の個人カードからGAKUENへのデータ移行を開始、新1年生の新規カード作成を廃止し、在校生の個人カード記録更新を省略することができた。また、日常の来室記録の電子化により、来室目的や対応等の分析、健康状態に問題がある学生への継続介入等が容易になった。

【考察】本年度は電子データへの移行期であるため、2~4年生に関しては昨年度以前の情報は依然、個人カードを参照する必要がある。3年後の全面電子化に向け、GAKUEN機能の充実と、モニタでの情報参照・入力の習慣化を図っていく。