Japan Association for Medical Informatics

[4-C-2-02] 横浜市における地域医療連携ネットワークガイドラインに基づくEHR構築実証事業

大山 紘平1、小川 亨1、深川 敦子1、修理 淳1 (1. 横浜市医療局, 2. 横浜市医療局, 3. 横浜市医療局, 4. 横浜市医療局)

EHRs, privacy, Regional Medicine

【背景と目的】本市では、将来的な市内全域への地域医療連携ネットワーク展開を見据え、出来る限り簡便・低コストに相互連携するための条件や技術規格等を定めた「横浜市におけるICT を活用した地域医療連携ネットワークガイドライン」を平成30年3月に新たに策定・公表した。将来形に向けては横浜市のガイドラインを満たす「相互連携のハブとなるEHR」が必要であり、その構築にかかる経費の一部を補助することで地域の取組を推進するとともに、ガイドラインの実証事業を平成30年度に行った。

【結果】社会福祉法人恩賜財団済生会支部神奈川県済生会横浜市東部病院の「横浜市鶴見地区地域医療介護連携ネットワークシステム構築事業」を採択し、30年度中に「サルビアねっと」として構築され地域の自主財源により運用されている。構築実証事業完了の30年度末時点において、参加施設は64施設、同意患者数は5,413人(鶴見区人口の2%近く)である。また、参加施設の月額利用料は、機能ごとに異なり、病院は15万円~30万円、医科診療所15,000円、歯科診療所10,000円、保険薬局10,000円、介護施設8,000円である。

【考察】将来的な相互連携を前提にした場合に肝となる、患者同意の考え方や情報項目の共有範囲などについて、短期間での合意形成が可能であった。また、自主運営が原則であることもガイドラインに定めたことから、参加施設が一定の利用料を支払うことに対する合意形成も円滑に行えた。こうしたことから、行政が定めるガイドラインの有効性は一定程度示せたと考える。今後は、神奈川県とも連携するなどにより、地域のインフラとなるために必要な要件を満たすEHRの構築を継続して推進し、早期に相互連携も実現することで、より効果的な横浜市の医療提供体制の実現へつなげていきたい。