Japan Association for Medical Informatics

[4-C-3-02] ICFを用いた看護計画立案のシステム化の取り組み

大森 桂子1 (1. 京都民医連中央病院)

WHOが人間の生活機能と障がいの分類法として採択したICF (International Classification of Functioning, Disability and Health)は、保健・医療・福祉等の幅広い分野の業務従事者のみならず、障がいや疾病を持った本人やその家族が、その障がいや疾病の状態について共通理解を得るためのツールである。そして、様々な障がい者に向けたサービスを提供する施設などで行われるサービスの計画立案や評価、記録などのために必要な、実際的な手段を提供することができる国際的なツールでもある。
当院においてはこれまで、単に医療機関同士の連携ばかりではなく、保健・福祉機関との連携を多く行っている実績がありながら、ICF自体を学ぶ機会が少なく、さらに評価項目が多いことなどから導入には至っていなかった。今回、病院の新築移転に伴う情報システムの更新を機会として、急性期から慢性期、そして在宅に至る患者の生活機能を共通言語であるICFで評価し記録するためのシステムを開発した。具体的には、看護師が入院時に看護プロファイルから患者問題を抽出する段階でICFの枠組みに基づく評価が行えるよう、そのマスタを電子カルテシステムに組み込んだ。次に、その評価結果から抽出される問題点に基づき看護計画を立案できるようにした。さらに、課題を多職種で共有するための仕組み(ダッシュボード的な機能)を組み込んだ。そして、退院に向けた各種カンファレンスでは、改めて患者の生活機能をICFで評価し、その結果を退院時に看護サマリ等で共有できるシステムとした。
それらの機能は、単に同一医療機関内で患者の生活機能に関する共通言語を得るだけではなく、複数の保健・医療・福祉機関との連携を図るための共通言語ともなり得ると考えており、地域医療連携システムへの実装へと拡張されることが期待される。