一般社団法人 日本医療情報学会

[4-D-1-03] 循環器領域で利活用が望まれる部門システムデータのDWHへの蓄積

武田 理宏1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科医療情報学)

患者プロファイル、処方オーダ、注射オーダ、検体検査結果など基幹システムのデータは、データウェアハウス(DWH)にデータを蓄積するなど、利活用に向けた取り組みが普及している。一方、循環器領域で利活用が望まれる心電図データ、心臓超音波データ、心臓カテーテルデータなどは、部門システムで作成されることが多く、二次利用に向けたデータ蓄積が課題となる。
我々は、電子カルテ記録の長期見読性維持を目的に、基幹システム、部門システムで作成される診療記録のプリントイメージをPDFなどの汎用フォーマットで文書統合管理システム(DACS)に送信し、保存している。各システムからDACSへは、患者ID、文書ID、イベント日などの文書属性情報をXMLで記載した文書メタ情報を合わせて送信している。文書メタ情報には、後にデータ二次利用が予想されるデータを重要項目値として設定し、DACSインフラを用いてDWHに蓄積することが可能である。例えば、生理検査システムからは心電図の所見データが、画像レポートシステムからは所見と診断エリアのフリーテキストデータがDWHに蓄積されている。
医療者が記録を記載する場合、テンプレートを用いて記録を作成することで、構造化データを蓄積することが可能となる。例えば、テンプレートを用いてデータ入力を行うことで、血圧等の診察室での測定データ、心雑音等の診察データが蓄積可能である。当院のテンプレートシステムはサービス化され、文書作成システム、放射線レポートシステムなどの部門システムから起動できる。当院では心臓超音波レポートを文書作成システムで作成しているが、計測データ等はテンプレートを用いて入力し、他テンプレートにデータ引用を可能とすると共にDWHにデータ蓄積している。
以上のような手法をもって、循環器領域で利活用が必要な多くのデータを構造化データとして蓄積し、臨床研究等での利活用を行っている。