Japan Association for Medical Informatics

[4-D-2-03] がん登録に加え、がん情報を分析・評価できる実務者育成のための教材と登録システムの開発

坂本 千枝子1、外山 比南子2 (1. 国際医療福祉大学, 2. 医療データサイエンス研究所)

Cancer registrar, Electronic teaching materials, Cancer registration systems

【背景】がん登録推進法の施行により、院内がん登録実務者には一定水準の知識と登録技術が求められる。当大学院も、精度の高いがん登録が出来る実務者育成を目的に教育をしてきた。しかし、精度の高いがん登録ができても、その情報を分析・評価できる施設はまだ少ない。

【目的】がん登録演習のための教材作成と、登録データを利用して分析・評価のできる実務者育成のための登録システムを開発する。

【方法】大学院開発の教材DBに5大がんと我国に多いがん症例の模擬カルテ(以下、カルテ)を登録し、その模擬サマリ(以下、サマリ)を作成する。この他、登録実務経験に合わせたサマリのみも作成する。次に、演習で登録した情報を抽出して分析・評価を実習できる教育用登録システムを開発する。

【結果】作成した教材は、カルテとサマリの組合せが21件でサマリのみは53件だった。登録システムは、FileMaker Pro Advanced Ver.17で構築した。登録情報を蓄積、管理するデータベース、データ入力機能、データ出力機能及び登録データや公表データと合わせて分析する機能を構築した。がん登録システムとして、登録項目を格納する5個のデータテーブルとそれに関連した17個のマスターテーブルを設計・構築し、登録画面を作成した。今後、検索・集計・分析機能を追加していく。

【考察】カルテを電子的に作成したことで、それを元に実務経験に合わせたサマリ作成が容易になり、症例数を増やすことができた。登録システムの開発は、がん情報を登録から分析までできる実務者育成の教育ツールとして役立つと考える。

【結語】精度の高いがん登録だけでなく、登録情報を分析・評価できるがん登録実務者育成を目的に、教材と登録システムを開発した。さらに教材の数と種類を増やし、登録システムも改良を加えながら演習を行い、情報分析や評価のできる実務者育成につなげていく。