Japan Association for Medical Informatics

[4-E-1-03] FHIR規格とスマートフォンを利用した深部静脈血栓症アラートシステムの構築

鳥飼 幸太1、野口 怜1、齋藤 勇一郎1 (1. 群馬大学医学部附属病院システム統合センター)

Real-Time Medical Alert System, In-Hospital Venous Thromboembolism, FHIR, Smartphone, Medical Safety

【背景】院内静脈血栓塞栓症 (In-Hospital Venous Thromboembolism: IH-VTE) は、回避可能な院内死亡原因である。今年度より、本院においてIH-VTEに関するQIプロジェクトが始動し、QI目標として「致死的IH-VTEの完全な予防」が定められた。IH-VTEは全入院期間における危険性があり、目標達成のためには発症ならびに付帯情報の迅速な共有実現が大きな課題であった。

【目的】本院では平成27年9月よりシングルチャネルWi-Fiと院内スマートフォンの運用を継続しており、SIP/REST APIを用いた検査パニック値アラートシステムについて実装し、運用試験を行っている。そこで本研究では、迅速なIH-VTEアラート開発を行う目的で、電子カルテに入力されたオーダ情報、検査情報などからIH-VTEの発症条件を判別し、対象医師ならびに医療スタッフに対してFHIRインターフェースを用い、院内スマートフォンへアラート通知を行うシステムを構築した。 手法: IT-VTEは既に院内で策定されたリスク評価表に基づきアラートロジックを構成した。診断については下肢エコーと造影CT、予防は①安静解除②弾性ストッキング③間欠的下肢圧迫システム④抗凝固療法の4手段を検出することとした。④の抗凝固療法は1) ヘパリンカルシウム皮下注2) 同持続静注3) クレキサン皮下注4) アリクストラ皮下注5) リクシアナ内服の5種類を検出する仕様とした。

【結果】整備されたインフラとWeb親和性が高いFHIRフォーマットを用いることで、プロジェクト開始から4カ月でサーバからのデータ取得、判断ロジックの実装並びにスマートフォンでのアラート通知までの実装を行うことができた。本方式は拡張性にも優れており、現場運用を通じてさらに高度なロジックを実装する際にもリードタイムの大幅な削減が可能と考えられる。