Japan Association for Medical Informatics

[4-E-1-04] 病理・画像レポートの見落とし対策-DWHシステムを利用したシステム構築事例報告

日野 輝隆1、田邊 藤子1、中塚 伸一2、中西 克之3、松永 隆1 (1. 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 医療情報部, 2. 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 病理・細胞診断科, 3. 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 放射線診断・IVR科)

MedicalSafety, Data Warehouse, Report

【目的】当院は、画像レポート・病理レポートの確認漏れによる治療の遅れを防止するため2017年3月に病理レポート・画像レポートのデータをDWHサーバにデータの蓄積を開始した。このデータを利用し、レポートの報告後適切な治療が行われたか確認する事で診療の後方支援を行う事としたので報告する。

【方法】①作成したプログラムがDWHサーバより特定条件を満たす症例をリストアップ。②診療情報管理士がExcelにエクスポートした対象症例に対し適切な対応が取れているか電子カルテを確認。③対応が十分でないと考えられる場合、主治医に連絡を行う。

【結果】2017年10月より試行運用開始、2018年1月より本運用を開始した。病理レポートの2018年度実績(全件数/抽出件数/通知件数)は16,444件/754件/0件であった。画像レポートの2018年度実績は、121,190件/754件/14件であった。プログラムの処理時間は1日あたり約10秒程度、診療情報管理士が電子カルテの確認に要する時間は約5分程度であった。抽出される症例で確認時のイレギュラーケースになるのが、他院での治療の選択及びBSCの選択であった。

【考察】症例のトレースを行う事により、見落としの対策として効果があったと考える。また確認を行うスタッフの負荷も大きくない事から費用対効果の面においても効果的であったと言える。一方でスクリーニングの条件からそもそも外れる症例はチェックの対象外となっており今後改善を行っていく上での課題となっている。

【結語】レポートのデータがテキストデータだけではなく、構造化されていくことによりチェックの質が上がりスクリーニング処理、対象症例の幅も広げる事が可能になる。人も情報もリソースの有効活用が今後更に求められていく中、部門内だけの発想にとらわれず院内全体を横断した考え方を広げる事により医療安全にも寄与していきたい。