一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-2-03] JCSデータ出力標準フォーマットガイドライン(SEAMAT)による標準化

越後 洋一1,2 (1. 日本光電工業株式会社、2. 日本IHE協会)

 我が国において疫学的研究を行う場合、多種多様な形式のデータを研究者の多大な努力によって収集してきた。各メーカにおいては、計測値等データ出力できる機能があっても、そのデータ形式は多様であるため、まず研究者は各々のデータ形式を “標準化” する必要があった。しかしながら、その作業は複雑で簡単ではなく、データの利活用を行う上で長年の課題であった。
 日本IHE協会:循環器委員会は日本循環器学会IT/Database委員会等と協力し、心電図検査や心臓超音波検査、心臓カテーテル検査・治療のデータを SS-MIX2拡張ストレージに出力するための標準フォーマットである JCSデータ出力標準フォーマットガイドライン:Standard Export data forMAT(SEAMAT)を策定した。SEMATでは循環器領域の検査で標準的な項目名や単位、および LOINCコードが割り当てられており、その情報は日本循環器学会ホームページに掲載されている。
 SEAMATは各種医療情報標準規約をベースとしている。しかしながら、各規約は包括的な定義をしていて、利用者の解釈に幅が出る部分が少なくない。そのため、データ出力実装者やデータ利用者ができるだけ技術的に迷いなくデータを利活用できるよう、技術文書としてガイドラインを策定している。ガイドラインにもとづくデータを利用することで、疫学的研究が活性化され、循環器疾患レジストリーシステムの構築へも寄与することを期待している。
 SEAMATの更なる発展のため、各学会からメンバーが集まり、SEAMAT研究委員会として項目の見直しを行う体制も確立している。例えば心電図に関しては、現在、安静時標準12誘導検査だけとなっているものを、ホルター心電図検査や運動負荷心電図検査についても項目を策定する検討を始めている。SEAMATにより目指すものは、循環器特有の検査における電子化されたデータの利活用であり、循環器臨床医のニーズを満たすものと考えている。