一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-3-01] 電子カルテへの重症システム統合による全体最適化

野口 忠祥1、町田 二郎1、髙志 賢太郎1、菊池 忠1、堀田 春美1、林田 明美1、井浦 弥生1、小林 美晴1、西川 理子1、柴尾 嘉洋1、柴田 啓智1、長塚 元子1、瀬口 祐樹1、大橋 宝1、堂上 愛1、小妻 幸男1、西岡 智美1、管田 塁1、吉冨 香愛1、髙野 亜紀1 (1. 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院)

Intensive Care Unit , Emergency Outpatient Unit, Data utilization

【背景】当院は2011年10月に電子カルテ(NEC MegaOak HR)を導入し、クリニカルパス推進や2013年のJCI受審における記事テンプレート作成など診療記録を構造化し、そのデータをBIツール等で利活用することで、医療の質、安全性の向上、業務効率化を図ってきた(BI件数:約60件)。しかしながら、これらの仕組みは電子カルテに限定したもので、部門システムのデータ利活用は不十分であり、特に多くの診療記録が発生する集中治療と救急外来において改善が必要であった。また複数システム存在による二重入力の負担、情報伝達の低下、算定漏れ等の課題も生じていた。

【目的】電子カルテで構築したデータ利活用の仕組みを集中治療と救急外来に拡大する。複数システム存在で生じる二重入力、情報伝達、算定漏れの課題を解決する。

【方法】2017年10月の電子カルテ更新を機に集中治療と救急外来機能を電子カルテに統合し、一貫した操作で指示や記録を登録する仕組みとした。

【結果】集中治療と救急外来の構造化記録を電子カルテに集約し、利活用の範囲を拡大した。実際に毎月の救急外来集計をBIツールで自動化した。注射や処置等の部門システムへの二重入力を電子カルテのみとし、入力負担を軽減した。救急外来、集中治療、一般病棟間で指示や記録が継続され、情報伝達が向上した。救急外来の経過記録時にバックグラウンドで処置オーダが自動発生する仕組みとし、算定漏れを防止した。

【考察】集中治療と救急外来のシステム統合は、一貫した操作の診療記録をDWHに集約し、クリーニング軽減や分析精度向上が期待できる。また指示や記録の体系統一と継続利用で情報の正確性が増し、安全性の向上に繋がる。

【展望】多職種が協同する集中治療と救急外来の指示や記録を一般病棟や外来と同一体系で継続性のあるデータとして蓄積できたため、それを利活用し、部門を越えた業務改善に貢献したい。