Japan Association for Medical Informatics

[4-F-2-02] 医療情報の二次利用の制度に関する現状―デンマークとオランダを例に―

伊藤 伸介1、木村 映善2 (1. 中央大学, 2. 国立保健医療科学院)

Register-Based Statistical System, Microdata, Administrative Data

デンマークやオランダといった国々においては、個人・家族に関する人口・社会的な行政記録情報や医療・健康に関する情報等、行政上の登録簿(レジスター)を用いた、レジスター(登録簿)ベースの統計作成システムが展開されている。具体的には、レジスターに収集・保管されている行政記録データ(以下「レジスターデータ」)が公的統計の作成のために自動的に統計作成部局に移送され、保管されるシステムが確立されている。デンマークを例に挙げると、保健省(ministry of health)のデンマーク健康データ局(Danish Health Data Authority)で保管されている、患者の病名や病歴等の様々なレジスターデータが、デンマーク統計局にオンラインで送られる。これらのレジスター情報は、人口情報(居住者情報)のレジスター、住所・建物情報のレジスター、および企業情報のレジスターといった各種のレジスターと、個人識別番号を介して連結される構造となっている。デンマークやオランダでは、個票データの保護に関する法制度、さらにはデータを提供する政府機関と認証された機関との間の信頼関係をもとに、レジスターデータの二次利用が展開されてきた。利用者は、個票データの利用申請を行うことによって、医療・健康を含む様々な分野を対象に、IDを用いてリンケージされた個票データにアクセスできる。個票データの利用にあたっては、直接的な識別子の削除と個人識別番号の仮名化を適用した上で、セキュアなリモートアクセスの環境の下で、可能になっている。また、分析結果の持ち出しにおいては、分析結果から個体情報が露見しないように、分析結果のチェックを行われている。本報告では、主として公的統計作成の観点から見たデンマークやオランダにおける医療情報の収集・保管・管理の現状、および医療情報の二次利用制度の特徴について述べることにしたい。