一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-2-03] スウェーデンのプライマリケアにおける抗菌薬適正使用に有用な医療ITシステムの実態

石金 正裕1、鈴木 久美子1、郁 傑夫1、木下 典子1、木村 映善2 (1. 国立国際医療研究センター AMR臨床リファレンスセンター, 2. 国立保健医療科学院)

primary care, antimicrobial resistance, sweden, medical information technology

世界的に薬剤耐性(AMR) 対策が加速する中、2017年4月に国立国際医療研究センターにAMR臨床リファレンスセンター(AMRCRC)が設立され、AMR 対策に取り組んでいる。「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)」の1つの分野に「抗微生物剤適正使用」があり、地域単位、全国レベルで評価が可能な医療関連感染症の動向調査の仕組みの設立が求められている。AMRCRCは、これまで本邦で報告されている病院等の入院施設のある医療機関におけるAMR対策の知見を活用し、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE: Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology)の運用を2019年1月より開始している。一方で、経口抗菌薬の処方の9割以上を占めるプライマリケアにおけるAMR 対策の知見は限られている。
 また、2018年施行の「次世代医療基盤法」により、日本の医療情報利活用の可能性が大きく前進することが期待されているが、現下(2019年7月)具体的な管理体制や運営体系について検討中であり、また臨床における医療情報活用の具体像についても定まっているとは言い難い。
 そこで我々は日本のAMR対策への示唆を得ることを目的として、医療ITシステムが最も進んでいる国の1つであるスウェーデンのプライマリケア施設、スウェーデンの抗菌薬処方収集電子システムである「My Issued Prescriptions」を運営しているeHealth Agency、「My Issued Prescriptions」によって得られた結果に基づいて介入を行っているPublic Health Agency of Sweden等の視察を通じ、抗菌薬適正使用のために有用な医療ITシステムの特徴を調査した。