Japan Association for Medical Informatics

[4-I-1-03] 病院情報システムとCloud・IoTの統合活用

深澤 真吾1 (1. 社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院)

診療ならびにその記録を電子化、効率化するため、電子カルテを使用している医療機関は増加しているが、我々の日常業務には、紙運用が多く残されており、データの一元管理は容易でない。診療を支える職員の業務管理や物品管理の効率化を図ることができれば、職員負担の軽減につながり、各専門職は、本来担当すべき診療業務に余裕を持って専念できるものの、これらは基幹となる電子カルテシステムの守備範囲外である。

近年、医療現場における働き方改革の推進が重要な課題となっており、病院職員、特に医師の勤務状況の正確な把握は必須であるほか、労働環境の改善のためこれまで以上の業務効率化が求められており、ICTの活用もその方策の一つとなる。

我々は、正確で効率的な勤怠管理を行う目的で、FileMaker Cloud for Amazon Web Services を用い、PCのみでなく、スマートフォン(iOS, android)からもアクセス可能なWeb勤怠管理システムを構築し、運用を開始した。また、各部署の職員に頼っていた薬品保管庫の温度確認を自動化し、一元管理するため、薬品保管庫にLPWA(低消費電力広域通信網)のSigfoxを利用したIoTセンサを設置し、FileMakerで遠隔監視するシステムを開発した。

自施設におけるニーズはあるものの、電子カルテシステムでは実現できない機能について、CloudやIoTといった新たな技術を用い、ユーザーメードで開発、実現した。2021年の病院情報システム更新にあたっては、現在のニーズを十分に把握したうえで、基幹システムでの実現可能性、コスト、将来性を検討し、ユーザーメード開発も選択肢に加えるべきと考えている。