Japan Association for Medical Informatics

[4-I-2-06] 上級医療情報技師ワークショップ2019より報告 ~人材育成:医療情報技師を増やす~

橋本 智広1 (1. 大津赤十字病院)

病院を含む医療施設において、今日ICTの利活用が積極的に推進されている。特に電子カルテ等の情報システムを導入し、診療録の共有だけではなく、蓄積された診療録の利活用として、経営や臨床指標等の評価につなげる取り組みが実践されている。同時に、情報システムを適切に運用することを目的として、医療情報技師や上級医療情報技師といった専門性のある人材を確保するため採用活動等を行う医療施設も増加傾向にある。
昨今の情報システムは、シンプルかつ効率的な運用に配慮したシステムの実現が可能になっているが、システム構造の理解には未だ高度な技術的スキルが必要なことも多い。また、様々な利害関係者とのコミュニケーションが必要不可欠であることはいうまでもない。これに適応するためには、医療情報技師や上級医療情報技師に求められるスキルに合致する人材が必要であり、今後さらなる人材育成および確保に向けた取り組みが活性化すると考える。
上級医療情報技師は、医療情報技師となる人材を育成することが重要である。一方、医療情報技師の認定試験は、医療情報学会育成部会の統計情報によると、認定者数が横ばい傾向であるとされ、医療情報技師に対する認知度を向上するための取り組みも必要だと考える。この中で、上級医療情報技師がさらに医療情報技師を増やすためにできることを、ひとり一人が考える時期にあるのではないだろうか。
情報システムの運用管理は、医療現場における運用のみならずICTに関する技術的側面の理解も求められるため、その専門性から誰もが容易に担当者としての役割を担うことができるわけではない。医療情報技師を増やすためには、上級医療情報技師が限られた人材の中から、医療情報技師としての可能性を秘めた「人材=宝」を発掘する役割を担うことが近道になり得るだろう。その発掘した人材が各フィールドで活躍し、さらに将来上級医療情報技師へと成長されることを期待したい。