Japan Association for Medical Informatics

[4-J-1-03] 大学病院における遠隔診療サービスの利用について

太田 進1 (1. 日本アイ・ビー・エム株式会社 ヘルスケア・ライフサイエンスサービス事業部)

超高齢社会を迎えた日本では、パーキンソン病や認知症など加齢に伴い発症率が増加する神経変性疾患が、通院困難者の増加や専門医の不足などの大きな社会的問題を引き起こすと予想される。一方、増大する医療費や医師の偏在化、働き方改革などの課題があることから、ICTを活用した医療の効率化・高度化が急務となっている。

順天堂醫院脳神経内科様では2017年より、全国から来院される患者様に対し、IBMのサービスに基づく遠隔診療を行っている。
このサービスにより、専門医にとっては外来で患者様を長時間お待たせすることなく、専門医の不足する地域の患者様を安心して診察できること、また患者様にとっては、通院の身体的・精神的な負担軽減、医療経済の負担軽減などのストレスから解放され専門医の診察を受けることが可能となり、一定のご評価をいただいている。

当サービスでは、高齢者など端末利用に慣れていない患者でも使えるような工夫をし、事前にアプリの導入・設定済みのタブレット端末を携帯回線とセットで提供していることが特長である。また従来の外来の中でスムーズな運用ができるよう予約管理機能を改善し、病院にあわせたカスタマイズを容易にしている。その結果、患者の高い継続率を達成するとともに、診察時の負担軽減にも寄与している。また通信データの暗号化等、セキュリティ対策の点でも安心・安全なサービスを実現している。

今後タブレット端末が在宅モニター機器や電子カルテ等と接続されれば、遠隔診察の基盤がより多くの方に利用されると考えられる。こうした端末からのデータを活用することで、将来AIによる生活習慣と神経変性疾患の関連をビッグデータから解析し、新たな治療方法が創出されることが期待される。