一般社団法人 日本医療情報学会

[4-P1-2-04] 透析室におけるDiaCom®を用いた医薬品管理体制の構築

青木 勇樹1、藤田 俊之1、二橋 典久1、矢部 勝茂1 (1. 聖隷福祉事業団)

Medicine, System, Dialysis

【背景・目的】人工透析という特殊な治療においては電子カルテのオーダーリングシステムは十分な機能を有しておらず、手書き処方をしている施設も多くある。当院も透析室では注射薬剤を口頭指示で使用し、手書き請求伝票を用いて使用記録および医事請求を行っていた。また、口頭指示のため薬剤を使用する際は透析室の在庫を使用するため、大量の定数在庫を配置していた。手書き請求伝票の使用薬剤は薬剤部で手集計され、その結果を基に補充を行っていたが、手集計のミスや請求間違い等により実使用量との差異が発生していた。2018年より透析部門システムのDiaCom®が導入されたため、それを利用し迅速かつ正確な薬品管理体制の構築を目指した。

【方法】DiaCom®のデータベースから使用予定薬剤および使用実績薬剤を抽出するシステムを、Microsoft Access®を用いて作成した。また、使用予定薬剤については患者別に使用前日に払い出しを開始した。予定払い出し薬剤と使用実績薬剤を用いて患者別に突合することにより、定数使用薬剤数および返品薬剤数の算出を行った。その後、実在庫数との差異を確認することにより請求間違いの確認を行った。

【結果】使用した薬剤を手集計する作業時間を100%削減した。また、透析室における薬剤の定数を数量として91.1%、金額として96.0%削減した。さらに、薬剤投与忘れの医療過誤2件、請求漏れを平均2.4件/日発見した。

【考察】DiaCom®を導入することで透析においてもオーダリングシステムが利用できるようになったが、適正な医薬品管理を行う機能は存在しない。今回の取り組みを通してその機能を補完し、現場の環境を整備して薬品を安全に管理する体制を構築することができ、安全な医療に貢献することが出来た。今後は、透析同様に手書き処方で運用しているカテ室等でも同様の検討を行う必要がある。