Japan Association for Medical Informatics

[4-P1-2-05] 病棟薬剤業務支援ツール「病棟患者一覧」を使った医療の質改善 -「安全管理が必要な薬剤の服薬指導実施率」への適用

木下 元一1 (1. 名古屋第二赤十字病院)

high alert medication, pharmacist, PDCA cycle, quality indicator

【はじめに】厚生労働省は平成22年に「医療の質の評価・公表等推進事業」を開始し、施設名付きで公開することとした。日本赤十字社の病院グループは、平成30年度に本事業に参加し数値を公表した。当院は赤十字病院の平均値39.4%に対して22.2%と低い数値だった。今年度のQIとして目標値を決め、PDCAサイクルを回す取り組みを開始した。

【目的】「安全管理が必要な薬剤の服薬指導実施率」の目標値を50%とし、病棟薬剤業務支援ツール「病棟患者一覧」の有効性を確認する。
方法:1.病棟別、薬剤師別の指導実施率を日別でグラフ化し、今年度のQIとし目標を50%に設定し、薬剤師の認知度を上げた。2.「病棟患者一覧」の表示項目に、安全管理が必要な薬剤(ハイリスク薬)の処方情報と指導実施状況を追加し、進捗確認できるようにした。3.電子カルテの服薬指導テンプレートの薬品選択画面を改修した。

【結果】取り組み前後数ヶ月で、月平均の指導実施率は23.6%から54.1%と上昇した。

【考察】薬剤部では、医療職の働き方改革が進み実労働時間が減る中でITを活用して従来以上の業務効率を得ることに努めてきた。そのような中で「安全管理が必要な薬剤の服薬指導実施率」を数値化し、公表することに積極的に取り組みたい。当院の初期の数値の上昇は、病棟担当薬剤師が指導実施状況をリアルタイムに把握することで薬剤管理指導料1に対する認識が高まったことや、指導内容の確認と医事業務課の協力により算定漏れを防げたことによる。その後の数値を維持するためには本システムを活用した見える化と監視(PDCAサイクル)が有効だった。当院は、服薬指導率、疑義照会率と変更率、正確な医薬品アレルギー情報記載率を薬剤師のQIとして業務に取り組んできた。今回は「安全管理が必要な薬剤の服薬指導実施率」をQIとして取り組み薬剤師業務を全うしていきたい。