Japan Association for Medical Informatics

[4-P1-3-02] タブレットを用いた情報プライバシー上のニーズを把握する方法に対する看護師の評価

新實 夕香理1、太田 勝正2、曽根 千賀子3 (1. 名古屋女子大学, 2. 名古屋大学大学院医学系研究科, 3. 長野県看護大学)

Information Privacy, Nurses, Patient needs, Tablet type

【目的】入院患者の情報プライバシー上の要求をどのように電子カルテ画面に反映するかについて研究を進めている。今回、患者自身がカルテ上のどんな情報を一時的に非表示したいか、すなわち不特定の医療者に対して伏せておきたいかを直接選択するためのタブレット型の模擬テンプレートを作成し、第1段階として看護師の目から、その実用可能性を調査した。

【方法】電子カルテ利用歴が1年以上ある看護師30名を対象に、約60分のグループインタビューを実施した。属性に関するアンケートの実施およびタブレットの操作後に画面デザインの評価、タブレットを患者に渡し要望を問う方法とそのタイミング、看護業務への影響について尋ねた。なお、タブレットに示される調査用画面は模擬患者情報であり、実際の電子カルテ画面とは異なる。調査期間は2019年1月~3月である。倫理委員会の承認を得て調査を実施した。

【結果・考察】参加者の平均年齢は41.1歳、平均経験年数は17.8年、平均電子カルテ利用歴は9.1年であった。スタッフナースが14名(46.7%)であり、病棟勤務が25名(83.3%)であった。内容分析の結果、タブレット操作に不慣れな高齢者には難解であり、情報量が多いと混乱することが予想されるため、看護師は説明しながら一緒に行う必要があり、それによる負担を推察していた。緊急入院や急性期患者への実施は困難だが、予定入院であれば事務員による外来での実施が可能なこと、入院時の聴取だけでなく、定期的に見直す機会を設けることへの提案があった。患者はその職種が自身の治療にどう関係するかを知らないと共有範囲を選択できないため、各職種の業務内容の理解を促進する必要性も示された。本聴取方法により医療者の患者情報保護への意識が向上する一方で、適切な取扱いのための継続した教育が必要なことが示された。本研究はJSPS科研費17K12098の助成を受けた。