Japan Association for Medical Informatics

[4-P1-3-03] 紙カルテ貸出後の長期未返却を防ぐ取り組みについて

守屋 晴菜1、三浦 ゆみ1、佐々木 宏招1、末永 洋子1、佐藤 智昭2、中山 雅晴2 (1. 東北大学病院 医療情報室, 2. 東北大学病院 メディカルITセンター)

Paper medical records, management, traceability

【目的】診断書等の作成や研究調査の目的のため、当院では医師に外来カルテを貸し出す機会が非常に多い。貸出期間は14日間と定められているが、期間内に返却されないケースが多く、担当者はカルテの所在確認に苦労してきた。カルテの長期未返却によって所在不明のリスクが高まることから、これを防ぐための取り組みを実施したので報告する。

【方法】貸出カルテの長期未返却を防ぐため、2018年1月から下記の取り組みを行った。
 ①貸出カルテを届ける際に、貸出のルールを明記したお知らせ文書を添付。
 ②翌週に返却期限を迎えるカルテについて、毎週金曜日に当該診療科宛に文書で通知。
 ③貸出を延長する場合は、返却期限内に延長手続きを完了させ、手続き時にはカルテの所在を必ず係員が確認する。延長の更新は最大3回までとする。
 ④返却期限を過ぎたカルテについては貸し出し延長を認めず、強制的に回収。
 ⑤毎月の委員会で利用方法と返却状況を報告。貸し出しが多い診療科には個別に説明。

【結果】2017年度、返却期限が過ぎたためにカルテ返却の督促状を発行した件数は毎月1,400件前後であった。一方、取り組みを開始して4ヶ月目から督促状の件数が減り始め、7ヶ月後には1,000件を切り、12ヶ月後には200件以下に減少した。なお、督促を行ったカルテは全て回収している。

【考察】貸出カルテが期限内に返却されなかったのは、利用者への運用周知が徹底されていなかったためと反省する。この反省に基づき複数の方法で運用通知を行い、かつ厳格に対応し、1年を費やして返却の督促件数を減少させる成果を得た。できることを継続して確実に実施することの重要性を再認識できた。

【結語】貸出カルテの長期未返却を防ぐ取り組みを行い、1年で成果をあげた。引き続き利用者への運用通知を継続し、適切なカルテ管理を行う所存である。