一般社団法人 日本医療情報学会

[4-P2-1-05] 院内電波管理としての同一周波数帯運用課題の検討

山下 芳範1、米沢 由紀1、松田 友子1、大北 美恵子1 (1. 福井大学)

radio wave control, wireless device, wireless design

【目的】総務省から「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」が出され、電波の混信等の影響がない適切な環境が求められている。
しかしながら、医療機関での無線利用が増加しており、さらに複数の電波の利用も考慮する必要がでてきている。
医療機器のみならず、IoTや電話などとも共存が求められるなかで、院内の無線運用の方法を確立する。

【方法】同一周波数上での運用となる機器などの設定方法を確認し、混信状況を測定するとともに、病院内電波設計における回避方法を調査・検討する。
また、実際の病棟等での無線LAN等の病院設置機器以外からの外乱要因となる電波の測定と回避方法を調査・検討する。
特に、医療機器の無線LAN利用による院内無線LANとの干渉影響及び回避方法を検討する。
さらに、PHSの廃止に向けての代替規格であるsXGPとの混信及び回避方法を検討する。

【結果】無線LANについては、2.4GHz帯はIoT等で利用するBluetooth等のIEEE802.15系通信との混在した場合には速度低下やカバレッジに影響がみられた。
5GHz帯については、高速化のためのチャネル・ボンディングを行わなければ干渉回避は可能であるが、ポータブルX線撮影装置が利用するフラットパネルの無線LAN利用の帯域確保が必要であった。また、設定条件が限定されるため制約条件となった。
5GHzは、W53,W56と多チャンネル化しているが、気象等レーダ波との同一周波数であり、電波を確認すると停波・チャネル変更が発生した。
持ち込みモバイルルータやテザリングによる混信については、空きチャネルを確保することでこのチャネルに誘導され混信が軽減できた。
PHSとsXGPは同一周波数となり、相互に干渉するため同時運用には大きな影響が認められた。
医療テレメタは到達距離が大きいのため、チャネル重複の無い運用が求められる。