Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-2-05] 化学療法センターにおける患者待ち時間問題のデータ可視化による原因分析および改善への取組み

後沢 友麻1、湯川 幸子1、斎藤 明美2、菅野 寛子2、横田 則子2、大内 康太3、佐藤 美波3、小林 美奈子4、末永 洋子5、中山 雅晴1,6 (1. 東北大学病院メディカルITセンター, 2. 東北大学病院化学療法センター, 3. 東北大学病院腫瘍内科, 4. 東北大学病院薬剤部, 5. 東北大学病院医療情報室, 6. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

waiting times, EMR data analysis, visualization

【背景と目的】当院の化学療法センター(以下、化療センター)では、2004年の開設当初に比べ患者数が激増したため、外来患者の待ち時間が長く、クレーム数もそれにつれ増加してきた。2017年9月、この問題について化療センターからメディカルITセンターへ相談があり、他関連部署と協同し、待ち時間短縮に向け取組みを開始した。

【方法】2018年7月より、各患者の診療科再診予約時間、化療センターの予約時間・到着時間、ベッド割付時間、調剤払出時間、化学療法の開始時間・終了時間の各データを収集し可視化、また、化療センターでの運用を確認し、データと運用の両面から待ち時間の原因を分析した。

【結果】化療センター到着時間から化療開始時間を患者の待ち時間と定義すると、2017年9月における平均待ち時間は1時間55分、2時間以上待つ患者の割合は28%だった。データを分析した結果、化療センター9時の予約患者の85%が10時以降に到着しており、到着遅れの原因は、診療科での診察時間の遅れによるものと判明した。この影響により、10~11時台に患者が混み合い、11時台に待ち時間がピークとなっていた。また、曜日別の平均予約件数は、木曜日が74件、他の曜日は64~66件であり、曜日に偏りのあることが判明した。運用面においては、予約時間順での運用が徹底されていないこと、予約の追加要望を上限なく受け入れていることが明らかとなった。これらの改善策として、各診療科の医師に対し、化療センター9時の予約患者の診察時間の改善とともに、木曜日の予約の分散を依頼した。また、化療センターに対し、予約時間順での運用順守とともに、予約の追加要望は混み合う日や時間帯を避けて調整するよう依頼した。その結果、2019年3月における平均待ち時間は47分、2時間以上待つ患者の割合は4%へそれぞれ改善し、患者からのクレームもほぼ皆無となった。