Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-3-01] 医療分野の人工知能に対する市民の年齢層別の受容度の比較

田森 帆乃夏1、森井 康博1、山品 博子2、鈴木 哲平3、向井 まさみ1,4、小笠原 克彦2 (1. 北海道大学大学院保健科学院, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院, 3. 北海道教育大学岩見沢校芸術・スポーツビジネス専攻, 4. 国立がん研究センター中央病院医療情報部)

artificial intelligence in medicine, acceptance of new technology, questionnaire survey

【背景・目的】現在、医療分野の人工知能には、診断補助や医師のいない地域での医療サービス提供等、様々な期待がある。人工知能という新技術の普及には、受療者である市民の受容が重要であるが、日本で医療分野の人工知能の受容に関する調査はほとんど行われていない。本研究では、診断・治療方針の決定における人工知能の関与度と市民の年齢層別の受容度の関係を明らかにするため、インターネット調査および回答の年齢層別の比較を行った。

【方法】15-24歳、25-34歳、35-44歳、45-54歳、55-64歳、65歳以上の年齢層別に均等にサンプリングした市民555人を対象に調査を行った。本研究では、人工知能を病気の診断や治療方針を決定するものと定義した。調査票は、年齢や性別など市民の属性に関する設問、人工知能の関与の大きさに対する受容度の設問、新技術の受容モデルであるUnified Theory of Acceptance and Use of Technologyを参考にした設問で構成した。得られた回答から、χ2検定および残差分析により年齢層別の比較を行った。

【結果・考察】人工知能の関与の大きさに対する受容度の設問について、「人工知能が診断・治療方針の決定を行いその結果を患者に伝える」の設問では25-34歳 (p<0.05)、「人工知能が医師に代わって病気の診断や治療方針を決定し、医師がその結果を患者に伝える」の設問では15-24歳(p<0.05)で「行ってほしい」と回答した割合が高かった。一方、「人工知能を参考にして、医師が病気の診断や治療方針を決定し、その結果を患者に伝える」の設問では年齢による有意差はなかった。このことから、医療分野の人工知能の受容には年齢による差があり、診断・治療方針の決定における人工知能の関与が大きくなることに対する若年層の受容度が高いことが明らかとなった。