Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-3-02] GISを用いた脳卒中診療拠点病院の適正配置モデルの検討

藤原 健祐1、長内 俊也2、森井 康博3、谷 松子3、谷川 琢海4、小笠原 克彦1 (1. 北海道大学大学院保健科学研究院, 2. 北海道大学大学院医学研究科 脳神経外科, 3. 北海道大学大学院保健科学院, 4. 北海道科学大学 保健医療学部)

Geographic Information System, Spatial accessibility, Stroke Center, Optimal location

【緒言】本邦では、2019年に日本脳卒中学会が主体となって脳卒中診療の中核となる脳卒中センターの認定が開始される予定であり、センター機能を担う拠点病院の整備が必要になる。本研究の目的は、北海道における拠点病院の適正配置モデルを明らかにすることであり、一定時間以内に拠点病院まで搬送できる医療体制を担保するような施設配置について分析を行った。

【方法】受療者は脳卒中発症率の高い60歳以上の住民とし、拠点病院の候補は北海道に現存する病院とした。拠点病院数を北海道の3次医療圏数である6から1施設ずつ15施設まで増加させながら、救急車による搬送時間60分を閾値としたカバーエリア内の人口を最大化するような配置をArcGIS 10.5(ESRI Japan社)を用いて算出した(non-fixed)。また、ドクターヘリ配備拠点4施設を必須の拠点病院として固定した場合も同様に算出した(fixed)。得られた施設配置について、先行研究で報告されている脳卒中発症率に基づく仮想患者をGIS上でランダムに発生させ、基準となる搬送時間60分及び短時間搬送を想定した30分での人口カバー率を算出し、その妥当性を検証した。

【結果・考察】搬送時間60分の人口カバー率は、6から15施設の配置について、non-fixedでは85.7%から97.2%、fixedで85.1%から96.1%にそれぞれ上昇した。搬送時間30分の人口カバー率は、non-fixedでは配置施設数によって変動し、11施設の配置で最大の71.0%となり12施設以上の配置では70%以下となった。一方、fixedでは概ね右肩上がりの傾向を示し、13施設以上を配置した場合に70%以上となった。基準となる搬送時間60分の人口カバー率を高め、かつ短時間で搬送可能な人口を効率的に増加させるためには、中核都市への拠点病院の配置が必要と考えられる。