Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-3-04] 公開DPCデータを用いた手術の経済性評価指標の検討

中野 まどか1 (1. 香川大学医学部附属病院 医療情報部)

DPC, surgery, economy

【背景】院内における診療情報の分析ニーズ調査で挙がった「手術の収益性」との意見について検討した。当初は原価計算を想定したが、医療機関の支出は人件費が50%以上を占めるため、携わる職員が少なく、また低年齢である程収益性が高くなる構造である。安全面より材料や医薬品の大きな削減も困難であり、手術毎の収益は主に診療報酬制度に依存するものと考える。外保連試案を基準に手術実施情報と比較する方法も検討したが、利用可能な形でのデータ公開がないため、他の手段で手術の経済性評価指標を示せないか検討した。

【方法】DPC包括点数に乗じられる係数の1つである機能評価係数Ⅱの構成要素に、カバー率係数がある。「年12症例以上のDPC数/全DPC数」が各施設の指数となり、医療機関群毎の合計係数が指数に応じて割り当てられるため、手術の実施数も機能評価係数Ⅱを増減させる要因の1つと言える。そこで、当院における年12症例以上の手術を機能評価係数Ⅱの増加に貢献した可能性がある手術として抽出し、当該手術の症例数が大学病院本院群全体の症例数に占める割合を貢献度として算出した。データは厚生労働省「DPC導入の影響評価に関する調査:集計結果」にて公開されている年度毎・手術毎の施設別症例数を利用した。また、参考情報として香川県内の症例数に占める割合も算出した。

【結果・考察】機能評価係数Ⅱへ貢献した可能性がある手術および貢献度を把握できた。但し、DPCを決定する全ての情報が含まれておらず、手術以外の情報により分岐したDPCの数により実際のカバー率係数が増減することに留意する必要がある。手術全体では大学病院本院群内割合と香川県内割合に相関はないが、地域の医療資源の変化に伴いいずれも急増したと見られるケースがあった。経済性評価のみならず、年度別推移等の情報と組み合わせて内部・外部環境等の要因分析も行っていきたい。