Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-3-05] 脳卒中の医療提供体制における患者受療分析
- DPCデータからみるt-PA静注療法の地域格差の状況 -

佐藤 菊枝1、小林 大介1,2、菅野 亜紀1、山下 暁士1、西村 紀美子1、大山 慎太郎1、白鳥 義宗1 (1. 名古屋大学病院メディカルITセンター, 2. 神戸大学大学院医学研究科地域社会学・健康科学講座)

t-PA, DPC, Patient's Behavior

【背景】t-PA静注療法は、脳梗塞患者に対し、血栓を溶かす血栓溶解薬を静脈内投与する治療である。適応のある脳梗塞症例に対し、早期(発症後4.5時間以内)に開始できれば、症状改善が見込めるが、実施率は、5%程度といわれ、地域格差も大きい。その為、医療体制は地域における機能分化と機関間連携により、医療からリハビリ・介護サービスまで継続した実施体制を構築していくことが重要である。発症後、速やかな搬送と専門的診療が可能な環境整備を促すべく状況把握が必要である。

【方法】愛知県内医療機関105施設から提供されたDPCデータから、2017年度脳梗塞疾患で受療した患者を対象に抽出した。

【結果】t-PA静注療法を実施した施設は、49施設であった。受療患者数は、県内脳梗塞疾患患者の82.8%がt-PA静注療法実施施設を受療し、その52.0%が救急車による搬送によるものであったが、t-PA静注療法を実施した患者は、脳梗塞患者数に対し県内全体で4.74%、t-PA静注療法実施施設においては、5.72%であった。二次医療圏別では、最も多く実施している圏域では、12.06%であったが、実施0%の過疎地域圏域もあった。さらに、超急性期脳卒中加算算定者は、t-PA治療患者の79.0%であった。
t-PA治療のアウトカムとして、退院時RankinScaleと死亡率を年代別に比較すると、高齢者ほど有意に差がみられる結果が得られた。

【結論】DPCデータから、愛知県内医療施設における脳卒中疾患患者の受療状況を把握することができた。t-PA静注療法実施の向上には、人員等施設整備と発症から受療までのアクセシビリティを考慮して、地域の医療体制に効果的なマネジメントを提示し普及していく必要がある。