Japan Association for Medical Informatics

[LS06] RFIDによる三方よしの医療材料管理:医療従事者、ディーラー、患者を幸せにする働き方改革

美代 賢吾1 (1. 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター長)

 日本では効率的な物流と医療安全向上のため、世界に先駆けて医療用医薬品、医療機器のバーコード表示が進められ、現在ではほとんどの商品にバーコードが表示されるまでになった。近年ではさらに、医療現場での患者安全と質の向上、働き方改革の観点からRFIDの自動認識技術を活用したトレーサビリティ管理が注目されている。病院で使用する医療材料はディーラーの預託材料で管理されていることも多く、在庫の管理が不透明で、いつ・誰に・何を使用したかという情報がデータ化されていないことも多々あり、医療従事者への負担が大きくトレーサビリティ管理ができていなかった。本年2月より国立国際医療研究センターではRFID によるキャビネット管理システムを導入し、医療材料のトレース管理を行うことにより、医療従事者、ディーラー、患者のすべてのステークホルダーにとってメリットのある医療材料管理を実現した。併せて、システムにより取得されたデータを蓄積したトレーサビリティーデータバンクを活用した新しい医療の方向性についても述べる。