一般社団法人 日本医療情報学会

[2-A-1-03] J-CKD-DBから見えてきた日本の腎臓病の実態

*中川 直樹1、祖父江 理2、神田 英一郎3、長洲 一3、松下 邦洋4、中島 直樹5、片岡 浩巳6、大江 和彦7、岡田 美保子8、柏原 直樹3 (1. 旭川医科大学, 2. 香川大学, 3. 川崎医科大学, 4. Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health, 5. 九州大学, 6. 川崎医療福祉大学, 7. 東京大学, 8. 一般社団法人 医療データ活用基盤整備機構)

Chronic kidney disease, Medical Informatics, Electronic health record, SS-MIX2


日本腎臓学会(JSN)と日本医療情報学会(JAMI)は、厚生労働省臨床効果データベース及び臨床研究等 ICT 基盤構築研究事業「腎臓病データベースの拡充・連携強化と包括的データベースの構築(研究代表:柏原直樹 JSN理事長)」として包括的慢性腎臓病(CKD)データベース(J-CKD-DB)を構築した。
 2014 年1 月1 日から2014 年12 月31 日までの間に全国の11大学病院(第1 期DB構築病院)において、各施設の医療情報部門の先生方のご協力のもと、10万例のCKD症例が登録され、一次解析として39,121例の外来CKD患者の腎機能(eGFR)および尿蛋白の実態調査を行った。
 年齢中央値は71歳、男性54.7%、平均eGFR 51.3 mL/min/1.73 m2 で、65歳以上が全体の70%を占め、CKDの腎機能グレードは、G1:1,001例(2.6%)、G2:2,612例(6.7%)、G3a:23,333例(59.6%)、G3b:8,357例 (21.4%)、G4:2,710例 (6.9%)、G5:1,108 (2.8%)であり、男女とも高齢になるほどG3aの割合は減少し、G3b、G4の割合が増加した。尿蛋白定性検査は 19,055例(48.7%)で施行されており、CKD 尿蛋白グレードは、A1:9,357例(49.1%)、A2:3,126例(16.4%)、A3:6,572例(34.5%)で、男性は女性より尿蛋白の程度を強く認めた。さらに、腎性貧血および電解質異常の実態についても解析を進めている。
 J-CKD-DBの一次解析より、日本の大学病院通院CKD患者の実態が明らかになりつつある。最終的には数十万件規模のデータベース構築を目指している。このビッグデータを解析することで、全く新規の知見獲得が期待され、その成果を医療現場に還元していきたい。