[2-A-1-03] J-CKD-DBから見えてきた日本の腎臓病の実態
Chronic kidney disease, Medical Informatics, Electronic health record, SS-MIX2
日本腎臓学会(JSN)と日本医療情報学会(JAMI)は、厚生労働省臨床効果データベース及び臨床研究等 ICT 基盤構築研究事業「腎臓病データベースの拡充・連携強化と包括的データベースの構築(研究代表:柏原直樹 JSN理事長)」として包括的慢性腎臓病(CKD)データベース(J-CKD-DB)を構築した。
2014 年1 月1 日から2014 年12 月31 日までの間に全国の11大学病院(第1 期DB構築病院)において、各施設の医療情報部門の先生方のご協力のもと、10万例のCKD症例が登録され、一次解析として39,121例の外来CKD患者の腎機能(eGFR)および尿蛋白の実態調査を行った。
年齢中央値は71歳、男性54.7%、平均eGFR 51.3 mL/min/1.73 m2 で、65歳以上が全体の70%を占め、CKDの腎機能グレードは、G1:1,001例(2.6%)、G2:2,612例(6.7%)、G3a:23,333例(59.6%)、G3b:8,357例 (21.4%)、G4:2,710例 (6.9%)、G5:1,108 (2.8%)であり、男女とも高齢になるほどG3aの割合は減少し、G3b、G4の割合が増加した。尿蛋白定性検査は 19,055例(48.7%)で施行されており、CKD 尿蛋白グレードは、A1:9,357例(49.1%)、A2:3,126例(16.4%)、A3:6,572例(34.5%)で、男性は女性より尿蛋白の程度を強く認めた。さらに、腎性貧血および電解質異常の実態についても解析を進めている。
J-CKD-DBの一次解析より、日本の大学病院通院CKD患者の実態が明らかになりつつある。最終的には数十万件規模のデータベース構築を目指している。このビッグデータを解析することで、全く新規の知見獲得が期待され、その成果を医療現場に還元していきたい。